米IBMは,バイオメトリクス認証でセキュリティを強化するノート・パソコンの新モデルを米国時間10月4日に発表した。指紋リーダーで認証を行なう機能は,一部の「ThinkPad T42」モデルで選択可能になる。

 ユーザーは,新しいバイオメトリクス機能と同社のセキュリティ・システム「Embedded Security Subsystem」により,パスワードで保護された個人情報,財務情報,WWWサイト,ドキュメント,電子メールのセキュリティを確保しながらこれらの情報に容易にアクセス可能になるという。

 指紋リーダーは,リストレスト上にあり矢印キーの下方に位置する。ユーザーが,小型センサーで指先を水平方向にスライドさせると認証が行なわれ,自動的にシステム,ソフトウエア,WWWサイト,データベースなどにログオンできるようになる。指紋の読み取りには数秒しかかからない。このタイプの指紋読み取りは,従来の写真型のスキャンと比べて指先のより広い範囲を読み取ることができるため,誤った認証を防ぐことができるという。

 また,同社のハードウエアとソフトウエアをベースとするEmbedded Security Subsystemは,「Client Security Software」を新バージョン「同5.4」にアップグレードしてセキュリティを強化した。新版では,指紋認証と複雑なパスフレーズを組み合わせて,または個別に利用できるようになる。新しいソフトウエアと組み込み型セキュリティ・チップはシームレスに指紋リーダーに統合され,暗号キー,個人情報,パスフレーズをアクセス権の無いユーザーから保護する。

 ThinkPad T42は,Pentium Mを搭載。動作周波数1.8 GHzのモデル「745」にも対応する。厚さは最も薄い部分が2.5センチで重さが約2.04キロ。9セルの拡張バッテリにより,最大7.5時間の使用が可能。802.11 a/b/g,Bluetooth無線技術,長時間バッテリのオプションを備える。また,落下などによる加速を検知するチップをシステム・ボードに搭載しており,加速を感じると,ドライブの読み取り/書き込みヘッドをシステムが安定するまで一時的に停止させるデータ保護システム「Active Protection System」を採用している。

 バイオメトリクス認証機能を搭載したThinkPad T42は,同社のWWWサイトと特定のビジネス・パートナを通じて10月19日から販売が開始される。同機能を搭載したT42モデルの価格は1699ドルから。

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