米Microsoftは,米連邦捜査局(FBI)のロサンジェルス支局が2年間に渡る調査により,8000万ドル分を超える違法ソフトを押収したことを米国時間9月16日に発表した。同調査には,Microsoft社およびその他の業界調査員が参加した。Microsoft社製ソフトウエアとコンポーネントの偽造品の差し押さえで過去最大の規模となった。

 「Digital Marauder」として知られるFBIの調査は,組織犯罪における偽造ソフトウエア製品の複製,偽造ドキュメントの印刷,偽造ソフトウエアの配布の部分をターゲットとして行なわれた。FBIは8月下旬に,3通の捜査令状を発行し,カリフォルニア州,ワシントン州,テキサス州において11人を検挙した。同捜査によって検挙された11人は,9月15日の連邦大陪審において起訴されることが決定した。

 起訴されたワシントン州のTobias Grace容疑者,ロサンゼルスのTobias Grace容疑者を含む被告は,ロサンゼルス地域において偽造品を複製するサイトを設定し,Adobe社とSymantec社のCDを複製したことに関与したとされる。FBIロサンゼルス支局は,2004年4月に同現場を捜索して機器を押収した。

 Thai容疑者は,Grace容疑者の指示でサンフランシスコの印刷サービスThanh Tuong容疑者を紹介した。Tuong容疑者は,Microsoft社のサーバー製品とその他のソフトウエア製品のドキュメントを違法に印刷したと申し立てられている。印刷されたドキュメントは,テキサス州のGrace容疑者の姉妹を含め,多数の顧客の手に渡り配布されたとみられる。

 Microsoft社によれば,同社の製品の偽物と知的財産の侵害による今回の被害額は,同社にとって過去最大の8000万ドルを超えると推定される。同社は,今回の検挙は,FBIと業界の協力によって実現したものだとコメントしている。また,このような違法行為が売り上げ,税収,雇用口の縮小につながるとしている。

 同社は,ユーザーが使用するMicrosoft製品が正規品であるかどうかを確認するのに役立つWWWサイト「How to Tell」を公開している。また,正規品であるか確信が持てない消費者,または偽造ソフトウエアを販売したことがある再販店は,電話または電子メールによってMicrosoft社に連絡するように呼びかけている。

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