米TI(Texas Instruments)は米国時間1月26日,2003年第4四半期と通年の決算を発表した。第4四半期の売上高は27億7000万ドルだった。前期に比べ9%増,前年同期からは29%の増収。半導体製品ラインの売上高が大きく成長し,前年同期からは34%の増収となった。同期の1株あたりの利益は29セントだった。これには,Micron Technology社の株式売却による7セントと課税減額による2セントの利益が含まれる。

 2003年通年の業績では,売上高が前年から17%に該当する14億5100万ドル増の98億3400万ドルだった。これはワイヤレス,デジタル・コンシューマ,ブロードバンド市場におけるDigital Signal Processor(DSP)の需要の増加による半導体事業の売り上げにけん引された。

 第4四半期における半導体部門の売上高は,前期比16%増,前年同期からは34%の増収となった。同社によれば,DSPとアナログ製品の強力な需要の伸びが増収の主な要因になった。通年では,同部門の売上高はDSPにけん引されて20%増加している。最終製品では,ワイヤレス市場に投入した製品の出荷台数が高く,もっとも大きな成長源となっている。ワイヤレス製品の売上高は,前期から23%,前年同期からは41%伸びている。

 会長兼社長兼CEOのTom Engibous氏は「当期は,半導体事業の売上高が2期連続で2ケタ成長を記録した。ワイヤレス市場の売上高も過去最高を記録し,DSPと高性能アナログ製品の成長も顕著だった。通年では,営業活動により20億ドルを超えるキャッシュフローを生成した」と述べた。

 当期は,リストラ経費として1300万ドルを計上している。通年では同経費は1億1800万ドルに上る。「2004年末にリストラ計画が完了すれば,年間で半導体部門において6500万ドル,センサー・コントローラ部門で4000万ドル,合計おそよ1億500万ドルの経費削減が実現する見通し」(同社)という。

 当期の受注額は30億7600万ドルで,前期比16%増,前年同期比47%増。そのうち半導体の受注が27億4400万ドルを占め,前期比20%増,前年同期比56%増だった。通年でみると,受注額は前年から23%増の103億4400万ドルだった。半導体の受注は,27%の88億5400万ドルを占める。

 なお2004年第1四半期の業績について,同社では,売上高が27億2000万~29億5000万ドル,1株あたりの利益が16~22セントの範囲を予測する。各部門の売上高については,半導体部門が24億~26億ドル,センサー・コントローラ部門が2億5500万~2億7500万ドル,E&PS部門が7000万~8000万ドルとみる。

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