米NVIDIAは,米航空宇宙局(NASA)による火星探査に同社の技術を利用していることを米国時間1月19日に発表した。NASAは,火星の地形の画像再構成に関して同社の技術を採用しており,仮想現実により科学者が火星の地表を自由に動いているかのように3次元における探査が可能になったという。
NVIDIA社の技術により,NASAは火星の地形を仮想現実でリアルにビジュアル化している。これにより,科学者の環境に対する理解を深め,分析の合理化に成功しているという。NASAでは,NVIDIA社のプランニング・システムにより,実際にローバーがタスク実行を指示する前に動きを綿密に計画して実験する。火星探査ローバーのさまざまなシナリオは,3次元に再構成された火星表面でリハーサルが行なわれている。
NVIDIAのグラフィック技術によってビジュアル化される画像の解像度は,1997年の小型ローバー「Sojourner」が送信したイメージの3倍以上となる。新しいローバーは,Sojournerの6~10倍の速さで動き,1フィート(約30センチ)移動する間に測定する数値の数は6000~1万増加している。毎日,NASAの科学者グループの1つがその日のローバー・ミッションを実行し,別のグループがこれらの画像と測定データを研究して,翌日の計画を立てている。
「NVIDIAグラフィックによりNASAの科学者は,3次元のリアルな画像を使ってローバーの動きをインタラクティブに計画できる。そのため,ローバーに送る指令により実験とデータ収集に成功している。火星から転送される情報には,すぐに閲覧,研究,共有する必要がある大量の画像データが含まれる。リアルな仮想現実による3次元のビジュアル化は,距離を経て知識を得るためのもっとも効果的な手段である」(NASA Ames Research CenterのLaurence Edwards氏)
2台のNASA火星探査ローバーのうち「Spirit」は,2004年1月3日に火星表面に着陸した。「Opportunity」は,同月24日に着陸が予定されている。2台は,過去の火星に水が存在していたことを示唆するロケーションの探索を行なう。ローバーに備えたカメラと科学機器から収集したデータのビジュアル化を通じて,NASAの科学者は火星上の水の存在に関する歴史について調査する。同調査は,地表または地下における生物の存在の有無を知ることを目的としている。
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