米IDCは米国時間12月5日に,2003年第3四半期におけるディスク・ストレージ・システムの世界市場に関する調査結果を発表した。同市場の工場出荷時売上高は48億ドルで,前年同期と比べて0.3%減少した。

 「需要は比較的軟調で,例年を下回る状況が続いている。出荷ストレージ容量は前年同期比36%増の197P(ペタ)バイトで,増加速度が弱まった」(IDC)

 IDC,Storage Hardware Research部門グループ・バイス・プレジデントのJohn McArthur氏は,「過去4四半期にわたって,出荷ストレージ容量の前年同期比伸び率が失速しているが,価格の落ち込みに歯止めがかかり,過去2四半期は前年同期と比べて30%以内の価格低下にとどまっている。サプライヤは競って価格を下げるより,高機能ソフトウエア,サービス,アプリケーション統合に力を入れ始めている」と説明した。

 メーカーの首位は米Hewlett-Packard(HP)で,売上高ベースのシェア26.4%を獲得した。2位は米IBM(シェアは21.1%),3位は米EMC(同12.9%)だった。上位5社のうち,最も急速に成長したのは米Dellで,前年同期比22.9%増収。EMC社は,前年同期に著しく低迷したため,当期はその反動で20.5%成長となった。

 外付けディスク・ストレージ・システム分野の売上高は32億ドルで,前年同期比1.5%増加した。HP社(売上高ベースのシェアは21.8%)が首位を維持し,EMC社(同19.2%)が2位に付けた。同分野では,サーバー・メーカーが強く,HP社,IBM社,Dell社,米Sun Microsystemsのシェアを合計すると約48%に達する。

 NASとオープンSANを含むネットワーク・ストレージ分野では,EMC社(売上高ベースのシェアは28.9%)が首位に立った。2位はHP社(同25.6%),3位はIBM社(同11.5%)だった。

■2003年第3四半期における世界ディスク・ストレージ・システム市場の
メーカー別工場出荷時売上高(単位:100万ドル)

                 2003年Q3     市場    2002年Q3    市場
メーカー          売上高     シェア    売上高    シェア   成長率

HP                $1,262      26.4%    $1,293    27.0%    -2.4%
IBM               $1,006      21.1%      $956    19.9%     5.2%
EMC                 $617      12.9%      $512    10.7%    20.5%
Dell                $321       6.7%      $261     5.4%    22.9%
日立                $275       5.8%      $277     5.8%    -0.6%
Sun Microsystems    $250       5.2%      $259     5.4%    -3.2%
その他            $1,045      21.9%    $1,235    25.8%   -15.4%

合計              $4,776     100.0%    $4,793   100.0%    -0.3%

出典:IDC(2003年12月)

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