米IDCは,技術系企業のマーケティング予算に関する調査結果を米国時間10月1日に発表した。技術系企業によるマーケティングは,ベンチマーキングなどを利用した,より洗練された手法に移行しているが,一貫したマーケティング測定プログラムが欠如しているという。

 IT企業の予算は3年連続で削減されている。そのため,技術ベンダーのマーケティング支出は2003年に2.2%縮小している。2004年にも同レベルの下降が予想される。

 「長年に渡り,技術系企業のマーケティングは,大まかな規則と推測によって導かれていたが,間に合わせのマーケティングを行なう時代は過去のものになった」(同社技術マーケティング部門副社長のRichard Vancil氏)

 同氏によれば,技術業界が成熟するに従ってマーケティングへのアプローチの進化しており,ベンチマーキング,主要業績評価指標,ROI算出を利用したより洗練された手法に移行しているという。

 調査によれば,技術系ベンダーは現在平均して収益の約2.8%をマーケティングに充てている。これには,プログラムや人件費も含まれる。しかし,部門と流通モデルによって,割り当て額は大きく異なる。

 ハードウエア企業は収益の3%以上,ITサービス企業は1%未満しかマーケティングに割り当てていないが,ソフトウエア企業は7%近くをマーケティングに充てている。同じように,直接販売からの収益が全体の25%未満のベンダーがマーケティングに充てている額は6%だが,収益の75%以上を直接販売に依存する企業は,マーケティングに1.8%しか割り当てていない。

 また,企業は,予算が制限されているため,支出の内訳を注意深く監督していることが明らかになった。技術企業のマーケッタのおよそ50%がCEOから効果を測定する指示を受けている。すべての技術系企業の3分の2以上は,プログラム・レベルで標準化されたマーケティングの基準を設けているが,企業またはLOB(Line of Business)レベルで同様の基準を設けている企業は半数に満たない。一貫したマーケティング測定プログラムの作成で障害となっているのは,時間と予算の不足,標準となるマーケティング基準の欠如,特定のプログラムに対するコストと収益のトラッキングと割り当ての難しさなどが挙げられている。

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