米Gartnerは,2002年における世界のモバイル・インフラ市場に関する調査結果を現地時間7月16日に発表した。同市場の2002年における売上高は449億ドルだった。同社によれば,同年における同市場の売上高は低下しており,2003年も引き続き苦戦を強いられるという。

 「2002年において,モバイル・ネットワーク通信事業者は,経済不況と短期的なキャッシュ・フローの問題に直面したため,新しいインフラへの投資に慎重になっていた。通信事業者は,既存のネットワークに焦点を当てて,ユーザーのモバイル・データ・サービスへの需要が高まるのを待った。しかし,いまだに同サービスの加入者は少ない」(同社主席アナリストのJason Chapman氏)

 企業別にみると,同市場においてもっとも売り上げが高かったのは,スウェーデンのEricsson社だった。世界市場のシェアは29.5%を獲得している。売り上げ高だけで比較すると,2位につけたフィンランドのNokia社の2倍以上の差をつけている。

 同社によれば,Nokia社が1位との差を縮めるためには,W-CDMAネットワークの需要増加と通信事業者のGSMネットワークへの投資が期待される。ドイツSiemens社は,多くの契約を獲得して健闘しているが,ほとんどの契約が小規模なものになっている。また,米Lucent Technologiesと米Motorolaは,CDMA市場を支配しており,カナダのNortel Networksがこれに続いている。

 地域別にみると,西欧と北米の市場は特に厳しかった。上位7社が契約した36%は,アジア太平洋地域の企業だった。

■2002年の世界におけるモバイル・ネットワーク・インフラの売上高(単位:100万ドル)

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メーカー                     売上高    市場シェア(%)
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Ericsson                      13,228        29.5
Nokia                          5,803        12.9
Siemens                        5,261        11.7
Lucent Technologies            4,922        11.0
Motorola                       4,500        10.0
Nortel Networks                4,211         9.4
Alcatel                        2,924         6.5
その他                         4,047         9.0
合計                          44,895       100.0
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出典:Gartner Dataquest社

 上位7位までのベンダーは,250のモバイル・インフラ契約を結んでいる。その中でおよそ62%がGSM,20%がW-CDMAだった。同社によれば,第3世代技術の2大規格であるW-CDMAとCDMA2000 1xで成功したいと考えるベンダーにとって,2003年は重要な年になるという。

 「いくつかのベンダーが両規格に対応を試みているが,Nortel社以外に両方で成功している会社はない。Lucent社とMotorola社は,W-CDMA顧客を獲得するために努力する必要がある。Ericsson社は大量出荷により規模の経済を最大化するために,引き続きCDMA事業拡張する必要がある」(同氏)

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