「2006年までに無線とモバイル・インフラのサービス市場は374億2000万ドル規模に成長し,無線LAN機器の市場は37億2000万ドル規模に達する」。米IDCが米国時間5月29日に,2002~2006年における世界の無線とモバイル・インフラ,無線LAN機器市場に関する2つの調査結果を発表した。

 米国の無線とモバイル・インフラのサービス市場において,ベンダーは,長期にわたる経済低迷,企業の経費節減,異なる標準,広帯域の過剰設備,セキュリティに対する懸念などの問題に直面してきた。

 こうした業界が直面する問題に反し,IDCは無線とモバイル・インフラのコンサルティング,インテグレーション,管理サービスの世界市場は,2006年までに年平均成長率(CAGR)約15%で374億2000万ドルに拡大すると予測している。

 同社は,同市場の成長のカギはパブリック無線LAN(ビジター・ベースのネットワーク)が握っていると見ている。

 「インターネット,イントラネット,エクストラネット,リモート・アクセス,モバイル。ネットワーキング技術の展開により,エンド・ユーザーは,空港,コンベンション・センターなどのさまざまなロケーションからより多くの情報を求めるようになっている」(同社)。

 そのため,ネットワーク施設とプロバイダのサービスを使ってインターネットへのアクセスを望むエンド・ユーザーが増えるに従い,インターネット・ローミングに対する需要が増加する。またインターネット・ユーザー,在宅勤務者,ビジネス界におけるデータ通信の重要性などの増加が,インターネット・ローミング・サービスの需要を促すと予測している。

 また,無線LAN機器市場に関する調査では,2001年に前年から34.2%増の14億5000万ドルに成長した同市場が,2006年には37億2000万ドルに達すると予測している。同社は,有線ネットワークから無線LANへの移行が進み,携帯電話が従来の音声ネットワークに影響を与えたのと同じように,無線LANがネットワーク機器に影響を与えると見ている。

 「モバイル接続は,企業内外の両方における無線機器とインフラの採用がけん引している。LANスイッチ,ルータ,IP VANなどのデータ・ネットワーク機器のベンダーは,ネットワーキング戦略の一部に無線LANを統合するようになる」(同社)。

 また無線LAN製品の採用を促進する4つの要素として,教育,小売販売などの新しい垂直市場,空港,ホテルなどのビジター・ベースのネットワーク配備,SOHO/家庭ネットワークにおける使用,5GHz製品(802.11aとHiperLAN/2)を挙げている。

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