米Intel社は,企業のITコストの削減を支援する新しいプログラム「Intel Stable Image Platform Program(SIPP)」の詳細を米国時間6月10日に発表した。これは,PCインフラのテスト,開発,管理を容易にするとともに,PCプラットフォーム構成の一貫性の向上と総保有コスト(TCO)の削減を狙う。まず,同社のモバイル技術「Centrino」,「Pentium 4」プロセサで採用され,大量のPCを配備する企業におけるコンピュータ環境を安定させる。

 コード・ネーム「Granite Peak」で同年2月に公表されていた同プログラムは,アプリケーションのチップセットの導入から12カ月間は重要な技術修正を加えないというもの。同プログラムにより,新しいIntel製ハードウエアを搭載したPCを購入した企業は,12カ月間PCのソフトウエア・イメージを変更する必要がなくなる。そのため,IT管理者はネットワークに安定したイメージ・セットを安心して配備できる

 従来,コンポーネントやPCのメーカーが修正を加えた場合,IT部門はソフトとハードのテストを実施して互換性を確認しなければならなかった。この作業には,経費と時間がかかる。SIPPにより,IT管理者は1台のコンピュータ構成をテストして,すべての新しいPCに反映させた後,1年間まったく修正を加えずに同環境を使うことができる。

 新しいコンピュータを追加した場合,多様なPCプラットフォームの構成は管理が困難である上にサポートに経費がかかる。また,PC購入によるビジネス・バリューを改善しながら総保有コストを抑えなければならないという圧力が強まっている。IntelのSIPPは,これらの問題を軽減して対処する。

 米Meta Groupによれば,複数のコンピュータ構成を実行する複雑なPCインフラを持つ大規模企業は,一貫性のあるPCプラットフォーム上で環境を標準化することにより,ITサポートと管理費が最大15%削減できるという。

 SIPPの一環として,Stable Image Technologyが同社のデスクトップとモバイル製品に組み込まれる。Stable Image Technologyは,チップセットに組み込まれるハードウエア機能。小さな技術修正を行なった場合に,前のPCプラットフォーム構成と互換性を持たせる。また,同社は,将来のプラットフォーム革新や技術移行を事前に提供することにより,IT管理者の購買計画を支援する。

 ソフトウエア・イメージは,OS,アプリケーション,プロセサとその他のコンポーネントをコントロールするコンパイラなどPC上にある特定のコードのイメージ。企業は,購入したPCにソフトウエア・イメージをロードしてネットワーク全般にアプリケーションとハードウエアの標準セットを配備する。

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