2003年Q1の世界PC出荷台数は前年同期比3％増，「2ケタ成長は2004年から」

早坂利之

2003.06.11

　米IDCが米国時間6月9日に，世界パソコン市場に関する調査結果を発表した。2003年第1四半期は，出荷台数が前年同期比3％増の約3500万台，売上高が422億ドルだった。

　第1四半期の成長は予測をわずかに上回ったが，同社は経済回復の遅延やSARS（重症急性呼吸器症候群）の影響を考慮して，2003年下半期の予測を下方修正した。その結果，2003年通期の出荷台数は前年比6.3％増の1億4520万台，売上高は同2.4％減の1690億ドルになる見込み。2004年通期の出荷台数は同10.3％増，売上高は同3.5％増とみる。

　IDC，Worldwide Quarterly PC Tracker部門ディレクタのLoren Loverde氏は，「企業分野の出荷台数がわずかしか回復しておらず，消費者分野は過去数四半期に成長が減速している。また，公共分野の出荷台数も落ち込んでいる。下半期は，企業と消費者による信頼回復とシステムの買い替え需要が，市場の成長を後押しするだろう。しかし，再び2ケタ台の成長率を実現できるのは，2004年になる」と予測した。

　地域別にみると，米国では第1四半期に公共分野が持ちこたえ，予想外の需要を生みだしたが，今後は予算削減によって，同分野の需要が急速に減少する。しかし，政府機関の需要や，企業／消費者分野の成長によって，2003年末には1ケタ台後半の成長率を達成する。

　西欧は，横ばい状態だった2002年第4四半期から回復した。しかし，企業によるIT投資の先延ばしと消費者分野の不調が影響し，2003年通期の成長率は3.9％にとどまる。

　日本は，消費者分野の低迷が公共分野の需要増を相殺し，回復が遅れている。年内に消費者分野の回復が見込めないことから，IDCは，2003年通期の成長率を前年比1.2％減に下方修正した。

　アジア太平洋地域では，第2四半期にSARSの影響が小売店で顕著になる見通しだ。しかし，下半期は大きな打撃を免れ，需要が回復し，第2四半期の落ち込みを補うことになる。

■米国と世界市場のパソコン出荷台数推移（単位：100万台）

                        2000年    2001年     2002年    2003年*    2004年*
    米国市場
    消費者              19.3       15.5       16.9       18.7       21.2
    企業                32.7       30.5       30.7       31.4       34.2
    合計                52.0       46.1       47.5       50.0       55.4
   
    世界市場
    消費者              52.6       47.5       48.7       51.9       57.3
    企業                87.5       87.0       87.8       93.3      102.8
    合計               140.1      134.6      136.5      145.2      160.1
  
*推測値

出典：IDC，2003年6月

■米国と世界市場のパソコン出荷台数伸び率（単位：％）    

                                   2001年    2002年   2003年*   2004年*

    米国市場
    消費者                        -19.6％    8.5％    10.8％    13.5％
    企業                           -6.6％    0.5％    2.3％      9.0％
    合計                          -11.4％    3.2％    5.3％     10.7％

    世界市場
    消費者                         -9.7％    2.5％     6.5％    10.4％
    企業                           -0.5％    0.9％     6.2％    10.2％
    合計                           -4.0％    1.5％     6.3％    10.3％

*推測値

出典：IDC，2003年6月