米Motorola社は,2003年第2四半期における業績の予測を下方修正して米国時間6月9日に発表した。同社は,第2四半期の売上高の予測を64~66億ドルから60~64億ドルの範囲に修正した。特殊項目を除いた1株当たりの収益は,およそ3~5セントから損得無し,GAAPベースの1株当たりの収益は,1~3セントの範囲からおよそ2セントに修正した。

 同期には,同社のPersonal Communications Sector(PCS)部門のアジア地域における携帯電話機の売り上げが予測よりも低かった。同地域におけるSARS(重症急性呼吸器症候群)の発症は,消費者の購買力に対して同社が予想していた以上の悪影響を与えている。また,現地のハンドセット製造業者の余剰在庫も影響を与えている。PCSの北米,南米,欧州における業績は予測通りとなっている。

 同社の半導体部門(Semiconductor Products Sector)部門もアジア地域における問題から悪影響を受けている。PCSを含め,アジア地域の無線企業が売り上げの低下に合わせて在庫調整を行なっているため,無線ハンドセット・コンポーネントの売り上げが事前の予測に達していない。また5月下旬に,日本の仙台における製造施設が,マグニチュード7.0レベルの地震により被害を受けた。その結果,一時的に製造に支障をきたすとともに,修復と整理に関わる経費も発生している。

 同社は,SARS問題が解消され,同地域の購買パターンも復活すると楽観している。また,同地域における調査と開発リソースを増強しており,地域に向けた製品のリソースに注力するとともに,同地域における流通チャネルも拡張している。

 また,同社は,2003年通年の売上高と1株当たりの収益が当期の業績低下の影響を受けて低下すると予測している。当期の業績不振は,第3四半期ならびに第4四半期に悪影響を与える可能性があるとしている。同社は7月中旬に当期の最終決算報告を行なう際に,通年の修正予測の発表を予定している。

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