米Jupiter Researchは米国時間5月19日,2003年における航空券のオンライン販売に関する調査結果を発表した。それによると,2003年の売上高は,2002年の168億ドルから14%増の190億ドルに達する見通しだ。

 これは,航空機利用客数の予測と対照的な数字だ。2003年に航空機の乗客数は前年と比べて5%減少する見込みである。「航空業界はイラク戦争や重症急性呼吸器症候群(SARS)などに頭を悩ませているが,航空券のオンライン販売は2003年も引き続き成長するだろう。ここ数年間で乗客数は減っているものの,現在の旅行者はオンラインのみで利用できる顧客サービスと,低価格であるという長所を利用している」(Jupiter社上級アナリストのJared Blank氏)

 2003年に観光やレジャーなど,出張以外の目的の旅行者がオンラインで航空券を購入する割合は,航空券販売全体の34%を占める見込みだ。昨年はこの割合が28%だった。「航空会社が航空券をオンラインで販売する努力は,今年確実に成果を上げている。特に低価格の航空券を販売する航空会社でこの傾向は顕著だ。また,航空会社はオンライン人口の増加による恩恵も受けている。2003年に航空券をオンライン購入する旅行者の数は,前年より250万人増えるだろう。オンラインで販売する航空券の90%は国内旅行のため,SARSが航空券のオンライン販売に与える影響は,航空業界全体に対する影響に比べると小さい」(Jupiter社)

 ただし,オンライン・チャネルの成長は,大部分の航空会社にとって経営回復の兆しとはならない。景気の低迷や出張旅行者の減少,価格の下落をはじめ,低価格チケットを販売する会社どうしの競争激化などにより,2003年は航空業界全体にとって引き続き困難な1年となる。「インターネットは航空会社にとって“希望の光が差す場所”だが,不安定な経営状況を好転させるほどは明るくはない」(同氏)

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