「ITコンサルティングとシステム・インテグレータ・ベンダーは,業界特有のソリューションに対する市場のニーズを理解して,垂直業界ごとに競争的地位の獲得と保持に注力している」。米IDCが,米国における6部門の垂直業界のITコンサルタントとシステム・インテグレータに対する評価を米国時間1月15日に発表した。

 同社が発表した「Top 10 U.S. IT Consulting and Systems Integrators by Select Vertical Industries」と題するレポートでは,金融サービス,製造業,小売/卸,エネルギ,政府/教育,ヘルスケアの垂直市場において,米国のトップ10のITコンサルタントとシステム・インテグレータを評価している。

 同レポートによれば,産業の淘汰,ベンダーの戦略的構想,垂直市場への新しい企業の参入,エンド・ユーザーのニーズの変化により,この先3年間にかけてそれぞれの垂直業界におけるITサービスの競争状況が大きく変化するという。また2003年には,特定の垂直業界において大規模な外部委託業者のプレゼンスが強まり,システム・インタグレータは主要な垂直業界でシェアを拡大するために複数の戦略を用いるようになる。

 サービス企業において,これまで「あれば良い」というレベルのものだった垂直市場の戦略が,ITサービス環境において絶対に必要なものになった。垂直業界における大手企業を理解することにより,企業の長所と短所がより正確に把握できるようになるため,価値のある製品を提供できるようになるという。

 同社は,顧客が困難に感じている点を理解するために,また,パートナーシップを促進するために,サービス企業にとって,垂直市場の戦略の実装と見直しが必要不可欠だと考えている。業界の拡張にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用と業界特有の事業開発とマーケティング努力が,成功に向けた重要な要因となる。また,業界特有の機能の構築に複数面からのアプローチもベンダーの戦略の鍵になる。

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