米DiamondCluster Internationalが米国時間10月30日に,企業におけるアウトソーシングに関する調査結果を発表した。それによると,企業のトップはアウトソーシング・サービスの品質に満足しておらず,契約完了前にアウトソーシング会社との関係を絶ったことのある企業は70%以上にのぼるという。

 DiamondCluster社パートナのTom Weakland氏は,「他社が行った結果を単に観察するだけでは,特定組織内におけるアウトソーシングの可能性を分析することの代わりに成り得ない」と指摘する。「ほかの組織の活動を理解しようとすると,大混乱を招くことがある。たとえば,最近我々が企業のトップを対象に行った調査では,ヘルプ・デスクおよびコール・センター業務が“アウトソーシング化に最も適した業務”と“最も不適切な業務”の両方に登場した」(同氏)

 Fortune 1000企業の上級管理者を対象に調査したところ,アウトソーシングの利用を継続する主な理由として以下の項目が挙がった。

・企業の能力を世界レベルに引き上げる
・コストの削減や調整
・社内で不足している技能の補足
・非中核事業をアウトソーシングするという企業方針
・社内管理の難易度の高い業務をなくす

 同社によると,アウトソーシングの認知度は以前より高くなっているが,企業とアウトソーシング会社との意見の一致はなかなかうまく行かないという。調査対象企業の70%以上が,「以前アウトソーシング契約を中断したことがある」と答えた。ごく最近契約を中断した企業の管理者のうち29%は「アウトソーシングしていた業務を社内で処理するようにした」と答えたが,残りの71%は「ほかのアウトソーシング会社に依頼している」という結果となった。

 DiamondCluster社は,「契約中断の主な理由が,アウトソーシング会社のサービス品質の低さと,必要とされる技能の欠如にある」とみている。

 「契約を打ち切った企業の3分の2以上がアウトソーシングを継続させていることは,上級管理者はアウトソーシングへの期待を捨てていないことの現れだ」(Weakland氏)

 なお,アウトソーシング契約打ち切りから学んだ事柄としては,以下の項目が回答の多くを占めた。

・アウトソーシングが経費削減につながる保証はない
・契約を実行に移す時点で,範囲と目的を明確化しておく必要がある
・実行前にサービス・レベルの合意を定義しておく必要がある
・契約は(主従関係ではなく)パートナ関係として捕らえる必要がある

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