米Microsoft社が米国時間10月22日に,「Windows XP Embedded」のService Pack 1(SP1)が利用可能になったことを発表した。同社がラスベガスで開催中の第3回Windows Embedded Developers Conference(WEDC)で明らかにしたもの。「Windows XP Embedded with SP1」は,言語サポートと.NET Frameworkのサポートを拡張し,リモートからの起動やディスクレス操作といった組み込み型特有の機能を数多く追加している。
また,2003年3月末日までの90日間限定で「Windows CE.NET」と「Windows XP Embedded」向け開発ツール・セットである「Platform Builder」と「Target Designer Windows Embedded」を995ドルで提供するプロモーションも発表した。
「Windows XP Embedded with SP1」は,同年発表した「Windows XP SP1」をコンポーネント化したもの。「Windows XP SP1」は,ユーザーにセキュリティ,信頼性,互換性の強化をもたらすように設計されていたが,「Windows XP Embedded with SP1」は,同一のバイナリをベースとして,組み込み開発者に前範囲における技術へのアクセスを提供するとともに,クライアント上で利用可能なアプリケーションを提供する。「Windows XP Embedded with SP1」は,1万を越えるオペレーティング・システム機能,サービス,ドライバを提供して組み込み型デバイスのカスタマイズ,フット・プリントの縮小を支援する。
「Windows XP Embedded with SP1」の主な新しい機能は次の通り。
・リモート・ブート
Windows XP Embeddedのクライアントは,サーバーからダウンロードしたイメージを使用して,リモートから起動できる。サーバーからオペレーティング・システムとソフトウエアのアップデートが管理できるため,ハード・ドライブやFlash RAMなどのストレージが必要なくなる。そのため,小売のポイント・オブ・セールス端末やセルフサービス・キオスクなどのデバイスの開発とメインテナンスのコストを格段に縮小できる。
・Device Update Agent(DUA)
これは,シン・クライアント,ゲーム・システム,家庭用ゲートウェイ,セットトップ・ボックスなど既に設置されているデバイスでインクリメンタルなアップデートが必要なシナリオに向けに設計された。ユーザーは,物理的にその場にいなくてもデバイスの管理とアップデートができる。バイナリのアップデート,追加,削除とともにレジストリ・データの修正に理想的なエージェント。
・System Deployment Image(SDI)Manager
ユーザーは迅速にランタイム・イメージをWindows XP Embeddedデバイスに配備できる。エンド・ツー・エンドのイメージ配備プロセスの簡略化により開発者の生産性を向上させ,開発コストの削減を可能にする。
・Footprint Estimator
構成に追加する前に,個別のコンポーネント・サイズの依存性とともにマクロコンポーネントを推測する。開発者は,指定したコンポーネントのイメージ・サイズの影響を知ることができるため,推測作業を回避でき,開発時間とコストの節約につながる。
・言語サポート
20を越える言語のサポートを提供するため,ユーザー・インタフェースのローカライゼーションが容易になる。サポートする言語は,アラビア語,中国語(簡体字,繁体字),チェコ語,デンマーク語,オランダ語,英語,フィンランド語,仏語,独語,ギリシャ語,ヘブライ語,ハンガリー語,イタリア語,日本語,韓国語,ノルウェイ語,ポーランド語,ポルトガル語,ロシア語,スペイン語,スウェーデン語など。
・Microsoft .NET Framework
Common Language Runtimeと.NET Frameworkのクラス・ライブラリで作成されたWebベースのアプリケーション,XML Webサービス,スタンドアロン・アプリケーションを構築,配備,実行する機能を提供。
・新しい通信プロトコルとサービス
長いIPアドレスとルーティング機能と,より包括的なセキュリティを提供するIPv6や幅広いUSB対応周辺機器に向けた最新のUSB 2.0などをサポート。
「Windows XP Embedded with SP1」の評価版は,Microsoft社のWWWサイトから入手可能となっている。
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