米Jupitermedia社(旧称:INT Media Group社)の調査事業部門であるJupiter Researchが米国時間10月10日に,Webサービスに関する調査結果を発表した。調査対象となった企業のITエグゼクティブの82%がWebサービスを導入済みだと回答している。
Webサービス技術の完全な成熟には,あと3~5年かかるが,全般的に実験や試用が行われているという。しかし,幹部社員は,セキュリティに関する問題と同技術の未成熟な部分を無視しているという。
「Webサービス技術の採用は,広範囲に渡っているが,深くはない。誰もが試験的に導入しているものの,企業のコンピューティングが劇的な変貌を遂げるのは,少なくとも2年先になるだろう」(Jupiter Researchの副社長兼調査ディレクタのDavid Schatsky氏)。
調査結果によれば,Webサービスにより,事業経営者とIT部門の関係に大きなひずみを生じさせる可能性があるという。Webサービス技術により,新しいWebサービスをベースとしたアプリケーションを即座に構築できるため,事業経営者はIT組織への依存から解放されるようになるという同技術の多くの推奨者の主張に反して,同社は非常に異なった将来像を描いている。
「皮肉なことに,Webサービス技術により,内部事業部門と提携する技術グループからITに関する決定権と権限を,中央のITグループに移される可能性がある。これまで事業部門に直結したITグループは,中央のITグループに監督されることなくアプリケーションの開発と配備を行ってきたが,これらグループ間で摩擦が生じる可能性がある」(同氏)。
同社によれば,Webサービス技術は時間の経過につれて普及し,インフラ,企業とデスクトップ・アプリケーションのツールに至るまで,すべてのソフトウエア・レベルに浸透するという。しかし, Webサービス技術の少数のニッチ・プロバイダの例外を除き,ほとんどのベンダーにとっては,明確な増収にはつながらないとしている。
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