米Pioneer Consulting LLCが米国時間6月3日に,SAN(Storage Area Networks)機器の世界市場に関する調査結果を発表した。それによると,市場は2002年の75億ドル規模から,2007年には約840億ドル規模へと急成長を遂げるという。

 「技術製品の市場分野のなかでも,SANはその成長速度が最も速いものの一つ。SAN市場の急成長は北米だけにとどまらず,欧州,アジア,中南米でも起こるだろう」(Pioneer Consulting社,Optical Networking部門上級市場アナリストのJason Marcheck氏)

 また同社は,「データやその保存方法は,多くの企業にとって戦略的な重要性を持つようになっている」とも説明する。SANの普及により,ストレージ・システムの簡略化とコスト削減を行えるようになっており,現在は大企業がその恩恵を享受している。しかし今後は中小企業も同様の恩恵がもたらされるという。

 同社は,それを実現するものとして,IP SANを挙げている。SAN(Fiber Channel SANとIP SAN)は,DAS(Direct Attached Storage)に比べてコスト効率が極めて高い。またSAN技術のなかでは,IP SANが最も安価となっている。このことから,今後はIP SANがSAN機器市場を席巻することになる,と同社はみている。

 SAN機器は,中小企業にとって価格的に手が届かないソリューションとなっている。しかし現在は多くのIP SANベンダーが中小企業に向けた製品に積極的に取り組んでいる。このため「今後のIP SAN機器の成熟とともに,あらゆる規模の企業が最新のネットワーク・ストレージ技術へ移行できるようになる」(Marcheck氏)のだという。

 さらに同社は,「IP SAN機器の売上高は,2007年までにFiber Channel SAN機器のそれを追い抜く」とも予測している。

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