米Sun Microsystemsが米国時間5月22日に,C/C++/Fortran用コンパイラの新版「Sun ONE Studio 7, Compiler Collection」(旧名:Forte Compiler Collection)を発表した。同コンパイラは,Sun社が同日発表した「Solaris 9 Operating Environment(OE)」用に最適化されている。

 Sun ONE Studio 7, Compiler Collectionを使うことで,Solaris 9 OE上で動作するマルチスレッド・アプリケーションの性能,スループット,応答性を大幅に向上できるという。「SPEC OMP2001ベンチマークによる試験では,旧版に比べ22%の性能向上が見られた。また,動作周波数900MHzの『UltraSPARC III Cu』プロセサを使ったところ,SPEC CPUベンチマークで最高50%性能が高くなった」(Sun社)。さらに,「“区間演算”に対応しており,従来の“浮動小数点”演算モデルの限界を超えることが可能」(同社)という。

 同コンパイラには,ソース・レベル・デバッガが付属する。ランタイムのエラー・チェックなどの機能があり,開発期間中や製品のリリース前に発見することが困難だったバグを見つけるのに役立つという。「デバッガを使うことでプログラムの動的な実行状況を完全に制御し,性能やメモリー使用状況の改善,メモリー・アクセスの監視,メモリ・リークの検出などが行える」(同社)

 そのほかの主な特徴は以下の通り。

・32ビット/64ビット・アプリケーションに対応:64ビット・アプリケーションの作成が可能。その結果,大規模なデータ処理や大量データのソーティングへの対応能力が拡大し,複雑な数値演算の処理速度が高まる。

・マルチスレッド用開発ツール:マルチスレッド/マルチプロセス・アプリケーションの開発およびデバッグ用のツールを利用できる。

・コマンドライン用の設定:コマンドラインからコンパイルやデバッグを実行できるよう設定できる。そのため,統合開発環境(IDE)を購入せず,コンパイラなど必要なツールだけを買うという選択も可能。

・バイナリ互換またはSTLport標準ライブラリへの対応:STLport標準テンプレート・ライブラリに対応した。これにより,開発期間をかけずにプログラムの性能を向上させることができる。

・OpenMP C++ v1.0 API対応:技術演算でよく使われるマルチプロセス・プログラミング用のAPIに対応した。スレッド用の関数呼び出しを使わずに,高度な並行動作を行うC++アプリケーションの作成が可能になる。

・OpenMP Fortran 2.0 API対応:Fortran 90の配列構文の利用が可能になる。

・Fortran 2000標準対応:Fortran 2000標準の主要機能に対応している(ただし,Fortran 2000標準の最終版はまだ公開されていない)。

 Sun ONE Studio 7, Compiler Collectionは,直ちに利用できる。価格は995.00ドルからで,Sun社のWWWサイトからダウンロードできる。

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