米Gartnerが米国時間4月17日に,米Microsoftの認証サービス「Passport」の登録ユーザー数に関する調査結果を発表した。それによると,「登録ユーザー数は大幅に増えたものの,大部分のユーザーがPassport以外のサービスを利用するために登録している」(Gartner社)という。

 2002年2月のユーザー数は1400万人で,2001年8月の700万人に比べ6カ月間で2倍となった。しかし,Gartner社は増加の要因を,「消費者がPassport機能に興味を抱いているというよりも,『Hotmail』『Windows XP』『Microsoft Messenger』などで登録が必要ということが大きい」とみている。

 Gartner社副社長兼調査ディレクタのAvivah Litan氏は,「通常は消費者の要求が新しい製品やサービスの導入を後押しするが,Passportサービスの広まりはこの一般的なルールから明らかに外れている」と分析する。「消費者のほとんどは必要があるから登録するのであって,Passportの提供する便利な機能に対する関心は高くない」(同氏)

 2002年2月時点で「Microsoft社のほかのサービスで必要なためPassportに登録した」と答えたユーザーは84%いた。同様のユーザーは2001年8月には61%であった。一方,「複数のIDとパスワードを一つにまとめるためPassportに登録した」と答えたユーザーは,2002年2月は2%であったのに対し,2001年8月は16%いた。

 ただしMicrosoft社は,他社の競合または補完するサービスよりも,消費者から比較的高い信頼を得ている。具体的には,銀行が認証または電子財布サービスで消費者の47%から信頼されているという最も高い値を示したのに対し,Microsoft社は12%で2位であった。以下,クレジット・カード発行会社(8%),米AOL Time Warner傘下のAmerica Online(6%)が続く。

 Gartner社のアナリストによると,Passportの普及はMicrosoft社のWebサービス戦略に必要不可欠なものだという。「Passportの登録ユーザーが増えるほど,Passportを採用する企業にMicrosoft社がより多くのWWWサーバーやWebサービスを販売できる。そして,Passporでより多くのユーザーをコントロールすることになる」(Gartner社)

 「その結果,将来Microsoft社はより多くの広告売上,関連契約,見込み顧客の取引紹介料を得ることになる」(Avivah Litan氏)

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