CDMAデジタル無線技術の米QUALCOMM社は「radioOne 6300」チップセットを米国時間2月4日に発表した。ダイレクト・コンバージョン方式のマルチモード・チップ「RTR6300」,「RFL6000」,「RFR6000」で構成する。

 同製品は,GSM/GPRS,CDMA2000,gpsOne位置情報技術を利用するシステム上で動作して第2世代と第3世代技術をつなぐ統合型の無線トランシーバ/トランスミッタを提供する。GSM,DCS(Digital Communications System),携帯電話,PCS(Personal Communications Service),GPS帯域に対応し,ベースバンド・プロセサのMSM6300と直接動作する。

 radioOneは,中間周波数を介さずに直接ベース・バンド信号に変換するダイレクト・コンバージョン方式であるZIF(Zero Intermediate Frequency)を用いる。中間周波数を介さないためIF回路,IF段用SAWフィルタ,IFが不要。そのためコストと実装面積を削減できるという。

 同チップは,GSMとDCS帯域向けにGSM/GPRS統合型トランシーバを提供する。GSMレシーバは,LNA,直接変換式ミキサ,フィルタリングで構成され,GSMトランスミッタは,上方変換式のモジュレータとオフセットのPLLで構成される。また携帯電話とPCS帯域向けに2重帯域のCDMA2000 1Xトランスミッタを組み込んでいる。7X7ミリの48Bump Chip Carrier(BCC++)パッケージで提供。

 CDMA2000 1XとgpsOneレシーバは,「RFL6000」と「RFR6000」チップセットによって機能する。「RFL6000」は16BCC++パッケージ,「RFR6000」は40BCC++パッケージで提供。両デバイスは,CDMAの周波数で動作する。

 ハンドセット製造業者は,MSM6300チップセットとシステム・ソフトウエアにより,単一のヘッドセットで第3世代CDMA2000 1Xと第2世代GSM/GPRSサービスの統合が可能となる。CDMA2000 1X標準のRelease Aをサポートすることにより,音声とデータ・サービスと同時に最高307kビット/秒のデータ転送率を実現している。GSMとGPRSソリューションは,Phase 2+に準拠しており,送信のデータ転送率は最高40kビット/秒。R-UIM/SIMコントローラによるユーザー認証をサポートしている。

 同チップセットは,2002年の第4四半期にサンプル出荷が予定されている。

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