富士通グループの米DMR Consulting社が米国時間12月5日,情報技術サービス管理(ITSM)に関する調査結果を発表した。企業のITマネージャは,優れた情報技術管理と事業の効率性には直接的な関係があると考えている。この結果は,同社のWWWサイト上に掲げた39の質問に対する70名の企業ITマネージャの回答をまとめたもの。

 「ベスト・プラクティス」が企業内のITサービスを向上させることを前提として,ITSMは,近年ビジネス・コミュニティで重要視されてきた。

 投資収益率の面から, ITSMプロセスの「ベスト・プラクティス」を介したサービスの向上とユーザーへのサービスの効率性は強力な相関関係があり,即座に事業の節減につながる。たとえば,繰り返し発生する問題を分析することにより,ユーザー・サポートへの電話回数を減少できる。「ベスト・プラクティス」プロセスに従って定期的に分析を実行していると回答したのは,31%のみだった。特に大規模な企業では,サポートへの電話回数が減少すれば,必要とされるサポート人員の数も少なくて済む。

 もっとも興味深い結果は,企業のIT部門とITユーザーの間に存在する「カルチャー・ギャップ」である。さし迫った懸念事項として,両者のコミュニケーション欠如が挙げられている。ユーザー満足度を向上させるためにもっとも効果的な方法として,66%が両者のコミュニケーションを改善することだと回答している。

 ITサービス・デズク向けの中心となるITSMのベスト・プラクティスは,顧客満足度を評価するための定期的な内部調査に加え,繰り返し発生する問題の分析の提供,サポート・ドキュメンテーション,段階的プロシジャのために必要とされる。

 ベスト・プラクティスを実施していない企業は,ITインフラの変更に時間がかかり,サービスが中断される頻度が多く,サポート電話の回数も増加して,IT変更が高くつく。ITSMにベスト・プラクティス・プロセスを採用している企業と比較して,これらの要件には,時間とITリソースに,より大きな投資を行う必要がある。調査結果は,企業が実行するベスト・プラクティスの数とその企業の全般的なITサービスの効率性には,強い相関性があることを示している。

「これまで,企業のIT部門はサポート人員やインフラ増強の要求に応えてリソースを追加してきた。ITSMは,ITニーズに見合ったより費用効率が良いアプローチを決定する」(DMR Consulting社のITSMディレクタのHal Dally氏)

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