米Cisco Systems社が米国時間12月4日,光ソリューションの新製品である,長距離向け高密度波長分割多重(DWDM)システム「ONS 15808」を発表した。この製品は,サービス・プロバイダが,高容量回線に対するインターネットのニーズに対応し,費用効率良く長距離トランスポートを実現するように設計されている。

 「ONS 15808」は,10Gビット/秒のDWDM転送プラットフォームであり,将来的な拡張のために40Gビット/秒のサポートを予定している。初期リリースでは,50GHzで80チャネルを提供している。この先のリリースでは,300を超える10Gビット/秒のチャネルまで拡張可能な10Gビット/秒の160チャネルのサポートを提供している。その他の主要機能として,事前のエラー修正(FEC)機能,光チャネル保護,光電源の自動供給などがある。

 サービス・プロバイダは,光タイプとアプリケーションによる機能を最大限に活用できる。さらに,サービス・プロバイダは,モジュール性が高いプラットフォームにより,システムをサービスに影響を与えない形でシステムの拡張が可能となる。

 またサービス・プロバイダは,この製品を採用することにより,さまざまな面で経費削減が可能となる。まず中心となる光ネットワークに配備するデバイス数の削減,オペレーション,管理,保持,監視に関わるオペレーションの簡略化と自動化が可能となる。さらにO/E/O(光/電子/光)サイトをOLA(光ライン増幅)サイトに置き換えることにより,床占有面積と消費電熱量を削減できる。

 長距離トランスポートの主な要件は,スピード,容量,距離であり,従来の音声ネットワーク上で増大するデータ・トラフィック量に影響を受け,長距離トランスポートのスパンが拡張された。現在光ファイバ・ネットワークは,従来の長距離(LH:0~600Km)と拡張長距離(EHL:600~2000Km)の2つのセグメントをカバーしている。「ONS 15808」は,この2つの領域向けに低価格なトランスポートを実現させるためにDWDM技術を採用している。

 この2つのセグメント向けに最適化された「ONS 15808」のLH設定は,キャリア間のPoP接続と主要都市間の接続向けに適しており,ELH設定は,主要データ・センターの相互接続と主要メトロ・エリア間のキャリア・ネットワークのPoP接続などに適している。

 また同社は,広帯域ネットワーク・プロバイダの米Velocita社が,全米ネットワークの中心となるトランスポート向けに「ONS 15808」を採用したことを発表している。これにより同社は,IP+Opticalインフラ機能を拡張して顧客のニーズに対応する。

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