シスコシステムズは,通信事業者やISP向けの新フレームワーク「IP+オプティカル」を明らかにし,その構成要素となる新製品を発表した。2001年1月末の米国での発表を受けたもの。WDM(波長分割多重)をベースにした光ネットワークを,IPネットワークの観点から一元的に制御,管理できる機能を備える。通信事業者やISPは,低コストで広帯域の光IPネットワークを運用できるようになる。ユーザーにとっては,高速・高品質なサービスを安価に手に入れられる可能性が広がる。

IP+オプティカルの中核となる技術は,UCP(統合制御プレーン)と呼ばれるもので,MPLS(マルチプロトコル・ラベル・スイッチング)がベースになっている。MPLSは,送信元とあて先などの組み合わせが同一となるトラフィック・フローに対してラベルを割り当て,ラベル情報をもとにトラフィックをルーティング/スイッチングする技術。ATM(非同期転送モード)など下位レベルの伝送技術とIPの両方を,ラベル・スイッチング・ネットワークとして統合して運用できるため,ネットワークの設定・管理が容易になる。また,MPLSには,トラフィック・フローをルーティングの基準にするため,帯域制御やVPN(仮想プライベート・ネットワーク)といったトラフィックの制御も容易になるという特徴がある。UCPは,このMPLSをWDMネットワークに適用したGMPLS(ジェネラライズドMPLS)に対応した機能。例えば,光信号の波長単位でのルーティングや帯域制御などが可能になる。

シスコは,IP+オプティカルのフレームワークの構成要素となる製品も同時に発表した。バックボーン用の超高速ルーター「Cisco 12400」シリーズ,メトロポリタン・エリア向けのWDM機器「ONS 15454」,光ネットワークのエッジ・ルーターとなる「Cisco 7600 OSR」などである。UCPは,第2四半期以降,これらのプラットフォームに搭載される予定。 (Y.K.)