このところ光ネットワーク関連技術をもつ企業の買収が相次いでいる。米IntelやドイツのInfineon Technologiesなどに続き,今度は米Cisco Systemsが米国時間7月11日に,10Gbpsの都市型光ファイバ・ネットワーク向け半導体を手がけるAuroraNetics社を買収することで最終合意に達したことを明らかにした。買収金額は最大1億5000万ドル。株式交換方式で支払われる。
買収はすでに両社の役員会で了承されており,手続きの完了は2002年第1四半期を予定している。この買収に関連し,Cisco社では1株当たり1セント以下の経費を計上する予定である。
AuroraNetics社の技術はResilient Packet Rings(RPR)と呼ばれるデータ通信用ファイバ・リングに利用されている。RPRは,効率的に大容量のデータ転送を行う高速都市型ネットワークの構築を可能にする。
Cisco社はAuroraNetics社のRPR向け技術を利用し,自社が開発した光IPネットワーク・ソリューション「Dynamic Packet Transport(DPT)」の速度を2.5Gbpsから最大10Gbpsまで高める計画である。DPTとAuroraNetics社のRPR向け技術は,ともにSpatial Reuse Protocol(SRP)をベースにしている。
また,Cisco社はAuroraNetics社の技術を,10GbpsのSRP対応RPR向けソリューションの開発を行う企業にライセンス供与する予定である。
AuroraNetics社は2000年に創設されたカリフォルニア州サンノゼに拠点を置く未公開企業。従業員数は52人。買収後はCisco社Public Carrier IP Services Group,Service Provider Line of Business部門の傘下に入る。
調査会社米Cahners In-Statは2000年10月に,「SDHおよびSONET市場が急拡大し,2004年には前者は312億6000万ドル,後者は118億9000万ドル規模に達する。とりわけ,45Mビット/秒の光伝送システム市場が2002年にかけて大きく成長する」との予測を発表している。
またハイテク市場調査の米Dell'Oro Groupの調査では,「大都市DWDM,長距離DWDM,SONET/SDH多重化装置を含む世界の光ファイバ通信システム市場は,今後5年間で2倍強に拡大し,2005年には573億ドル規模に達する」という。
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