米Sun Microsystemsと米Stanford University(スタンフォード大学)が米国時間10月10日に,両者の取り組み「LOCKSS(Lots of Copies Keep Stuff Safe)」プログラムが順調に進んでいるなどと発表した。

 LOCKSSとは,インターネット上で出版された学術資料に確実かつ継続的にアクセスできるようにするというオンライン・アーカイブ・プロジェクト。電子的に発行される学術出版物やライブラリ・コレクションを収集し,それに継続的にアクセスできるようにする。2000年5月にスタートし,現在,世界の47カ所の図書館,53の出版社が参加しており,システムの大規模な試験を実施中である。

 LOCKSSプログラムのコンセプトは,暗号化やファイヤウォールなど秘密を守るための技術を使わずに,高信頼性/高耐性のあるシステムを構築することにあるという。Sun社技術者のDavid Rosenthal氏は「このプロジェクトは,大量の“良い”データ・ソースがあれば,システム内に複数存在する“悪党”がばら撒く“悪い”データを駆逐できる,という理念をもとにしている」と説明する。「この方法は,自警団が見回りをする方法によく似ている。全員で注意していれば,妙な活動に気づいて然るべきところに報告できるだろう」(同氏)。

 Java技術を使用したLOCKSSシステムは分散システムである。またオープンソースとして取り扱うという。Sun社は,全体を管理するシステムが不要で,低コストのコンピュータで動作するよう設計したと説明する。システムに参加するコンピュータは,そのコンピュータのハード・ディスク装置のファイルを監視し,ファイルが改竄されたり変更された場合は,自動的に動作するキャッシュ・システムによってファイルを変更前の内容に戻す。

 LOCKSSプロジェクトに対しては,米Andrew W. Mellon Foundation,全米科学財団(National Science Foundation:NSF),スタンフォード大学研究所,Sun社が資金提供している。LOCKSSの詳細については,スタンフォード大学のWWWサイトに掲載してある。

 なお,LOCKSSシステムの試験に協力している図書館には以下がある。The Library of Congress,The British Library,Harvard University,University of California Berkeley,Cambridge University,University of Goettingen,Hebrew University of Jerusalem,Hong Kong University of Science & Technology,National University of Singaporeなど。一覧は,WWWサイトで閲覧できる。

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