米International Data Corporation(IDC)が米国時間6月28日に,「世界のデジタル著作権管理(DRM)技術市場は2000年の9600万ドルの水準から年平均成長率106%で拡大し,2005年には35億ドルを超える規模へと飛躍的に成長する」とする予測分析を発表した。

 「デジタル著作権管理技術は,デジタル・コンテンツのセキュリティ,監視システム,配信,販売,アクセス・トラッキングなどに向けた技術として重要性が著しく高まっている。現段階ではまだ認知度も低く,市場は導入期にあるが,企業やユーザー間の信頼性を高めるインフラ技術として,今後幅広い製品やビジネス・モデルなどに向けて大きく利用が拡大する潜在成長性を秘めている」(IDC)

 IDCは,市場を牽引するカテゴリとして,「知的財産権保護」,「新たな収入源を創出するビジネス・モデル」,「プライバシ保護や機密保持」,「管理機能強化ツール」を挙げている。とりわけ,知的財産権保護分野が企業向けおよび企業間取引向けに飛躍的な伸びをみせるという。

 また,プライバシ保護技術への需要も急速に高まっている。すでに金融機関や法律サービス関連,政府機関などでの利用が広がっているほか,医療関連でも配信情報へのアクセス制限などで導入が拡大している。

 一方で,成長を阻むマイナス要因として,新しいビジネス・モデルは不安定になりがちであること,企業としての安定性が十分でないベンダーも多いこと,ビジネス・モデルの変更に躊躇する企業も少なくないこと,ノウハウや経験の不足,法律的な判断の面で事例がまだ少ないことなどを挙げている。

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