通信関連市場に関する調査コンサルティング会社である米RHKが米国時間8月20日に,世界のVoice-over-Broadband(VoB)サービス向けゲートウエイ機器に関する調査結果を発表した。2001年上半期は2800万ドルを超えたという。

 RHK社は,VoBを「単一の広帯域接続上で複数の高品質音声通話サービスと高速データ通信サービスを共存させる能力」と定義づけている。現在,この技術の恩恵を最も享受しているのは中小規模の企業,SOHOユーザーおよび在宅勤務者などである。VoBサービスは,DSL,ケーブル,広帯域ワイヤレスなどのアクセス技術によってサポートされているが,最も多く利用されているのがDSLである。

 メーカーの首位は米Jetstream Communicationsで,売り上げベースのシェアは30%を占めた。次いで米CopperComが21%,米TollBridge Technologiesが14%。新興メーカーのComMATCH社とZhone Technologies社は,それぞれ13%と6%だった。Accelerated Networks社は2%で,2000年の21%から大幅にシェアを縮小した。

 売上高とポート数ではJetstream社が1位だが,出荷台数ではZhone社がリードしている。CopperCom社,TollBridge社,ComMATCH社はすべてのカテゴリで上位に顔を見せている。北米以外での市場拡大がZhone社とComMATCH社の後押しをした。とりわけドイツで導入が進んでいるほか,アジア,南米,その他の欧州諸国でトライアルが行われているという。

 「2001年上半期は海外市場が成長し,北米市場の売上高シェアは2000年の97%から70%に縮小した。海外市場を対象にするメーカーと北米市場を対象にするメーカーは分かれており,両市場で強みを見せたメーカーはTollBridge社とZhone社だった」(RHK社Access Network Systemsサービス部門上級アナリストのTeresa Mastrangelo氏)。

 世界におけるVoBサービス提供は,主として競争的地域電話事業者(CLEC)や海外のCATV統括運営会社(MSO)などにとどまっている。既存地域通信事業者(ILEC)は引き続き技術検証やトライアルを行っているため,導入が遅れている。しかし2001年第4四半期には,限られた範囲でILECによるVoBサービスが始まると,RHK社は予測する。

 「VoBゲートウエイの売上高は2001年下半期は横這い。しかし第4四半期には新たな通信事業者がVoBサービスを開始し,普及が始まる」(同氏)。

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