カナダのCorelが米国時間7月16日に,グラフィックス・ソフトウエア・ベンダーの米Micrografxを買収することで両社が最終的な合意に達したことを明らかにした。買収金額は,「Micrografx社の2001年売上高の予測値と同額」(両社)の約3200万ドル。

 Micrografix社は2000年に売り上げの低迷などで経営が一時大幅に悪化,大規模なリストラ策を発表するとともに,破産の可能性も示唆していた。

 Corel社はMicrografxを買収することで,新たな売り上げの確保や経営効率の改善といった相乗効果を見込む。「2001年第4四半期以降のキャッシュ・フロー,1株当たり利益(EPS:Earning per Share)を高めることができる」(Corel社)。Corel社も2001年1月に,「2001年後半の黒字化を目指す」として経営再建策を発表している。

 Corel社は経営戦略として以下の3点を掲げている。

・グラフィックス・ソフトウエア市場での地位強化とビジネス・アプリケーション部門における経営の効率化およびユーザーの拡大。

・現行の製品や新製品でのWWWベースの機能を強化。

・無線やWebサービスなど成長分野に向けた新技術の開発。

 買収金額の支払いは株式交換で行う。Micrografx社の株式を1株当たりおよそ2ドルとし,Corel社株を割り当てる。Corel社は最大1100万株を発行する。7月16日のCorel社株終値は2ドル98セント,Micrografx社株は1ドル64セント。なお,Corel社株が2ドル90セントを下回った場合にはキャッシュで支払うことも選択できるとしている。今後Micrografx社の株主の了承を得る。買収手続きの完了はCorel社の会計年度の2001年第4四半期(~11月30日)を予定している。

 なおCorel社は米Microsoftのパートナー企業として,2001年6月末に同社からプログラム言語「C#」と「CLI(common language infrastructure)」のインプリメンテーションに関し,ソース・コードの提供を受けている。またMicrosoft社は2000年10月に,Corel社に対し1億3500万ドルの出資を行っている

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Micrografxが大規模なリストラ策を発表,破産の可能性も示唆

[Corel社の発表資料]
[Micrografx社の発表資料]