ドイツInfineon Technologies AG,オランダPhilips Semiconductors,伊仏合弁のSTMicroelectronicsの3社が現地時間7月12日に,Pb(鉛)フリー半導体製品の普及促進に向けた取り組みについて明らかにした。Pbフリーのパッケージや技術開発の促進を目指すもので,その一環として3社はPbフリーの標準規格案を公開した。

 「Pbフリー半導体製品の定義と評価を行うための世界初の標準規格」(3社)で,3社が2001年2月から提案書の作成にあたっていた。

 「このイニシアチブは電子機器からPbを排除し,環境保全を促進するという3社の取り組みを示すもの。標準規格では,“Pbフリー”を定義するとともに,はんだなどの材料や代替素材の信頼性について評価する」(3社)。

 3社によれば,Pbフリーの基準やその技術の信頼性を評価する方法について,国際的な合意が欠如しているという。「これがPb排除に向けた取り組みの障壁となっている」,と3社は説明する。

 「世界中で,錫,銀,銅,ビスマス,インジウム,亜鉛などを組み合わせた多くのPbフリーはんだ合金や,その手法が研究・開発されている。しかしいずれも錫鉛(Sn-Pb)合金に比べ融点が高い。Pbフリー技術への移行を促進するには,はんだ特性(solderability)や耐熱性といった信頼性に関する項目を定量化する業界共通の基準が必要だ」(STMicroelectronics社New Package Development部門副社長のCarlo Cognetti氏)。

 Infineon Technologies社Environment Protection and Safety ManagementのWolfgang Bloch氏によれば,「現在はどれくらいの鉛だったら“Pbフリー”と呼べるかの基準がなく,また代替技術を評価する基準もない。このため業界は混乱している」(同氏)という。

 3社の規格案では,個々の材料における鉛の含有率の上限を0.1%と定めている。これはパッケージや部品全体における含有率ではない。

 なお「欧州は電子機器や部品における鉛使用禁止の法制化で世界を先導している」(Philips Semiconductors社Environmental OfficerのLeo Klerks氏)。同氏によれば2006年の1月1日から鉛,水銀,カドミウムなどの使用が禁止されることになる。

 3社は,「この法制上の締切期限を大幅に前倒してPbフリー製品の市場投入を実現させる」(3社)としており,規格に完全準拠したPbフリー部品を2001年末までに利用可能にする予定である。

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[Infineon社サイトに掲載の発表資料]
[Philips Semiconductors社サイトに掲載の発表資料]
[STMicroelectronics社サイトに掲載の発表資料]