米IDCが米国時間7月9日に,Contract Manufacturing Services(電子機器の設計製造請け負いサービス=EMS:electronics manufacturing service)の世界市場を調査・分析した結果を発表した。2005年までのあいだ市場は継続して成長し,その規模は2000年の1030億ドルから2005年には2倍以上の2310億に拡大するという。

 サービス範囲の拡大が市場の成長を支えると同社は分析する。EMSは1970年代半ばに,ハイテク企業のアセンブリ業務のオーバーフローを補う形で登場した。それが今では工業デザインやエンクロージャー・サービス,世界規模での流通サービス,ロジスティックス・サービス,保証/修理サービスといった分野にまで広がっている。

 同社のContract Manufacturing Services調査プロジェクト,マネージャのKevin Kane氏は「製造請負サービスは今や製造サプライ・チェーンのほぼすべての局面を提供するまでに進化している」と説明する。EMSベンダにとって今後の究極的なゴールは,「ブランド力を持つシステム・ベンダーの重要なパートナー企業となること。サービスの種類を増やしていくことでシステム・ベンダーのビジネスとの統合が促進される」(同氏)。

 EMSの市場で,最も成功している企業は米SolectronとシンガポールFlextronics International。IDCによれば,両社の売り上げベースの市場シェアはそれぞれ13.7%と11.8%。これ以外のEMSベンダーで10%以上のシェアを持つ企業はないという。

 2000年に最もビジネス機会があったのは,コンピュータと通信の分野。この2分野の売上高で市場全体の46%を占めたという。ただし2005年までには,このような偏りはなくなると同社は予測する。

 地域別では北米と南米が最も大きな市場である。2005年までのあいだ,この二つの地域で全世界の売り上げの55%を占める。なお成長が最も速いのは欧州とアジアとみる。

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