スウェーデンのEricssonは現地時間1月26日に,携帯電話機の製造事業から撤退することを正式に明らかにした。
 Ericsson社は,電子機器製造請負(EMS:Electronics Manufacturing Service)大手の米Flextronics Internationalと携帯電話機の製造委託契約を結ぶ。同時に台湾Arima Computerとの提携関係を補完するために,台湾GVCとも提携関係に入る。GVC社とは製品開発およびODM(Original Design Manufacture)に関する契約を結ぶ。
 Flextronics社はEricsson社との最終合意ののち,2001年4月1日付けでEricsson社のブラジル,マレーシア,スウェーデン,英国,および米国におけるすべての関連施設を引き取る。スウェーデンでは2カ所の施設,英国も2カ所の施設,米国ではバージニア州の工場の一部が対象となる。なお中国におけるEricsson社の合弁企業は対象外となる。
 Ericsson社はすでに,Flextronics社と戦略的な提携関係を確立するための了解覚書に署名している。
 Ericsson社は今後,研究開発や設計,販売,マーケティングに重点をおく。研究開発はスウェーデンのLundとKista,米国のRaleigh,英国のBasingstokeで行う予定である。
 これに伴い,Ericsson社では4200名の従業員をFlextronics社に移管する。またスウェーデンでは600名,英国のBasingstokでは最大100名の従業員を解雇する。2001年末までにConsumer Products Divisionの従業員を,2000年末の1万6800名から7000名までに減らす計画である。
 なおEricsson社は同日,2000年第4四半期と通年の決算を発表した。第4四半期の売上高は821億クローナ(1米ドル=約9.59クローナ)で,前年同期と比べて11%増,税引き前利益は46億クローナで,同46%減となった。第3世代(3G)携帯電話への移行に伴いモバイル・システムの売り上げは伸びたものの,携帯電話機の売り上げがそれほど伸びなかったことが主な原因。
 通年の業績では,売上高が2736億クローナで,前年と比べて27%増。税引き前利益は287億クローナで,同75%増となった。
 希薄化後1株当たり利益は,2000年第4四半期が0.28クローナ(前年同期比64%減),通年では2.65クローナ(前年比72%増)だった。
 なおEricsson社は今後の見通しについても声明を発表している。システムの売り上げの伸びと携帯電話機の低迷は2001年第1四半期も続くという。同四半期の売上高は前年同期比で15%増程度を見込んでいる。税引き前利益はゼロで,これは携帯電話機事業部門の営業損失と3G携帯電話への投資増大が足を引っ張るため。
 2001年通年では,売上高の伸びが15%~20%,営業利益率は6%~8%を見込んでいる。携帯電話機事業のリストラ計画が功を奏すという。
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[発表資料1(携帯電話機製造事業からの撤退)]
[発表資料2(決算)]