一度は破産した低軌道の通信衛星を使った携帯電話サービスが復活を果たす。米Iridium LLCの資産を買い取った米国のベンチャー企業Iridium Satellite LLCが米国時間3月28日に,衛星通信サービスの提供を始めたことを明らかにしたもの。米国時間3月30日からサービスを再開する予定である。

 同社は3月8日(米国時間)にサービス・プロバイダ13社と契約,WWWサイト顧客サポート・センターを開設したことを発表している

 Iridium Satellite社は,アリゾナ州タンパでの約3カ月間にわたる実地試験を終了,モバイル・テレフォニ・サービスを提供を開始する。ダイヤルアップ接続などデータ通信サービスの提供を2001年6月に,ショート・メッセージ・サービスの提供を2001年後半に始める計画である。

 「当社が提供する衛星通信サービスは,地上通信システムが構築されていない地域でも利用できる真のグローバル・サービス。海上や空中,北/南極地方もカバーしている」(Iridium Satellite社)。

 特に,船舶,航空,石油・ガス,鉱業,建設,林業,政府機関,非政府機関,民間救援団体,ヨットなど海のレジャーといった分野での利用に向ける。米国防総省はすでに顧客となっている。

 米Motorolaがデータ通信対応携帯電話機の出荷をすでに始めており,サービス・プロバイダ企業が販売する。携帯電話機「Satellite Series 9500」の価格は1000ドル未満,利用料金は1分間につき1ドル50セント以下となる見込み。長距離通信料金やローミング料金などは不要。当初6カ月間は,携帯電話間の通話サービスを特別料金で提供する。小型軽量の「Satellite Series 9505」は1500ドル(アクセサリ含む)で,2001年8月に提供を始める。

 Iridium Satellite社のサービス・プロバイダ企業は以下の13社;

 英AST Airtime,デンマークEurocom Industries,スペインFibertel,仏GEOLINK Global Satellite Services,Global Satellite FWI社,蘭GloCall Satellite Communications,露Incomserv Co,加Infosat Telecommunications,英Marconi Marine,英O'Gara Satellite Networks,加Rent Express,加Stratos,米World Communication Center。

 Iridium Satellite社のシステムは,66個の低軌道周回衛星を用いており,7年以上利用が可能であるという。このほかに,7つの予備衛星があり,同社は2002年にさらに7つの予備衛星を打ち上げる計画である。米Boeingが運営と管理に当たっている。

 旧Iridium社は1999年8月に米連邦破産法を申請,現在米Boeing Companyの支援のもとで再建中である。2000年12月にIridium Satellite社がIridium社を買収し,経営資源をすべて移管した

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