KDDIは2月1日,衛星通信サービス「インマルサット」に新メニューを追加,新型の軽量端末「インマルサットM4」による64kビット/秒データ通信サービスを開始した。音声通話も可能で,インマルサットが従来対象にしていた船舶通信だけでなく,国内の陸上通信での利用も見込む。

 インマルサットでは2000年4月から64kビット/秒通信サービスを提供中。ただし従来端末の重量は約14kgと,人手による長距離移動は難しかった。新端末M4は4.2kgに軽量化。常時携帯には向かないが,山間地の工事現場や災害現場での利用を想定している。

 インマルサットの特徴はエリアが事実上無制限なこと。一般の携帯電話サービスと異なり,赤道上空の衛星が見通せれば全国どこからでも通信できる。海外でも,太平洋,インド洋をはじめとする全世界の約3分の2の地域がサービス・エリアになる。インマルサット端末間だけでなく,KDDI地上局を経由してISDN網や加入電話網とも通信が可能。同様のサービスはNTTドコモが「衛星携帯電話」として提供しているが,データ通信速度は最高4.8kビット/秒で,サービス・エリアも国内に限られる。

 M4端末の価格は138万円,レンタル料金は1週間9万円。通信料金は通話/データ通信とも,国内の加入電話/ISDN回線向けで6秒ごとに84円である。

(阿蘇 和人=日経コミュニケーション)