スウェーデンのEricssonが現地時間3月1日に,モバイル通信向けプラットフォーム「Bluetooth Local Infotainment Point(BLIP)」を発表した。「“ある街角だけ”といった限られた地域に向けた新しい無線通信のコンセプト」(Ericsson社)という。

 BLIPは限られた地域向けのスタンド・アロン・プラットフォーム。Bluetoothを介して通信を行う。最大720Kビット/秒のデータ転送速度を狙う。ユーザーは携帯電話機やPDAなどのモバイル機器を使って情報にアクセスできる。

 「携帯電話機やハンドヘルド機のBluetooth対応が増加するとともに,BLIPは急速に普及すると確信している」(Ericsson社)。

 BLIPの用途は,例えば広告ディスプレイとしての導入が考えられる。広告主は顧客に直接アクセスするインタラクティブな通信チャネルとしてBLIPを利用できる。人々は移動しながら地域情報に無線接続して,割り引きクーポンのダウンロード,新製品のテスト,プレゼンテーション・ビデオの試聴などを行うことが可能。

 「公共交通機関での普及も期待できる。各路線はBLIPを通じて情報を提供し,乗客からのフィードバックを得ることが可能だ。また,最大のメリットの一つはエンド・ユーザーが無償で利用できるということ」(Ericsson社Ericsson Business Innovation部門ベンチャーBLIマネージング・ディレクタのPPeter Lundin氏)。

 BLIPは今年中に世界で利用可能にする計画である。ハードウエア販売を除き,Ericsson社がコンテンツ・ソリューションの開発を手がける。対応アプリケーションの開発促進を図り,BLIPを社外の開発者にも公開する。BLIPの初回版は全般的に広い機能を持つものになる。将来版では容量や設計に応じて多様化させる。

  Bluetoothは,短距離通信に向く低コストの無線通信技術。2.45GHzのISM帯を使う。データ伝送速度は1Mbpsである(2Mbpsと10Mbpsも開発中)。携帯電話,ノート・パソコン,PDAといったモバイル機器間での用途をねらう。移動したり,ポケットやブリーフケース内に機器あっても通信できるようにする。

 1998年に米IBM,米Intel,フィンランドNokia,東芝,スウェーデンのEricssonがBluetoothの標準化団体「Bluetooth Special interest Group(SIG)」を立ち上げた。のちに,米Lucent Technologiesも参加している(「BluetoothのSIGのコア・メンバにMicrosoft,Lucentなどが参加」)。

 米Cahners In-Stat Groupによれば,「Bluetooth対応機器市場は,2005年までに出荷台数ベースで10億台を突破する規模に成長する」という。米Allied Businessは, 「2005年におけるBluetooth対応機器の出荷台数は14億台超」との予測を発表している。

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