米PacketVideoが,携帯情報端末向け無線ストリーミング・ビデオ配信ソフトの新版「PVPlatform 2.0」の提供を始めたことを明らかにした。フランスのカンヌで開幕した「3GSM World Congress」で,現地時間2月20日に発表したもの。

 PVPlatformはMPEG-4準拠のソフトウエアで,符号化を行う「PVAuthor」,保存や配信を行う「PVServer」,復号化の「PVPlayer」から成る。無線サービス・プロバイダや無線通信端末ベンダ,無線通信向けコンテンツ・プロバイダなどに提供する。

 新版の「2.0」には,新たにビットレート制御技術「FrameTrack」を組み込んだ。無線ネットワークではビットレートの変動により映像やオーディオが途切れがちになるが,FrameTrackがビットレートを制御することでこれを抑え,画質や音質を高い状態に保つ。PVServerはFrameTrackにより,PVPlayerから得られる画質情報に応じてフレームレートを自動調節する機能を備える。

 各ソフトウエアの主な機能は以下の通り。

■PVAuthor 2.0
 オーディオをスチル・ビデオ・フレームと組み合わせて無線配信する「PVVoice-Over-Picture」機能を追加

■PVServer 2.0
 認証ユーザーだけにコンテンツへのアクセス権を与えるメディア・サービス向け認証システムを提供。プロバイダがユーザーの利用動向を監視して,コンテンツやアプリケーション,マルチメディア・サービスなどの利用状況を追跡するトラッキング機能も備える。サーバーのOSは,Solaris,HP-UX,Linux。

■PVPlayer 2.0
 配信の通信速度に高速ネットワーク向けの「384Kbps以上」を追加した。このほか,履歴チェックやブックマーク機能,お気に入りの映像クリップ再生機能,コンテンツ情報の表示機能,再生ウインドウをディスプレイいっぱいに拡大する最大化モードなどを加えた。プレーヤのアップデート版をWWWサイト( http://www.pv.com/update)で無償配布している。

 PVPlayerは,三菱電機のスマートフォン「Trium Mondo」,米Compaq ComputerのPDA「iPAQ」,カシオ計算機の「CASSIOPEIA E115」「同 E125」「同 EM500」,米Hewlett-Packardの「Jornada 545」などに搭載されている。このほかの米MicrosoftのPocket PCベースの端末にも対応する。

 PacketVideo社は同日,スイスの通信プロバイダSwisscom Mobileと共同でPVPlatform2.0を用いた実地試験を行うことも明らかにした。「スイスでのGPRS網向けマルチメディア技術の実地試験は当社が初めて」(PacketVideo社)。

 PacketVideo社は,海外市場向けとして,英語版のほか,フランス,ドイツ,イタリア,スペイン,日本,韓国の6カ国語向けバージョンを用意している。

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