(2001.2.5,Anthony Cataldo and Rick Merritt=TechWeb News

 米IntelがItanium後継のIA-64プロセサ「McKinley(開発コード名)」の学会発表をキャンセルした。2月5日からカリフォルニア州サンマテオで国際固体回路会議(ISSCC:International Solid-State Circuits Conference)での出来事である。

 米Intelは,「The Second Implementation of the IA-64 Architecture」と題する技術論文の発表を行う予定だったが,2000年秋にこれを辞退したという。「ISSCCはプレゼンターに対し,設計などに関する詳細情報の提供を規定しているが,現時点ではまだ全てを公表できる段階ではないと判断した」(Intel社)。

 「McKinley」は「Itanium」の後継となる64ビット・マイクロプロセサ。0.18μmルールの製造技術を使い,6層のメタル(アルミニウム)配線で2億1400万のトランジスタを集積する。「McKinley」に関しては,一部アナリストのあいだで「これこそIA-64の星」との期待が大きい。

 ISSCCの主催者である米国電気電子技術者協会(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers)にIntel社が提出していた資料によれば「McKinley」は7段のパイプライン構成を採り,3階層のキャッシュもつ。

 現行のItaniumについてもサンプル出荷に遅れが出たが,対応するカスタムASICがまだ開発中だったこともあり大きな混乱には至らなかった。量産出荷のスケジュールに関しては,Intel社は「回答できない」としている。

 調査会社の米Linley Groupによれば,Itaniumプロセサの出荷開始は「2001年の半ばあたりになる」(社長兼主席アナリスト,Linley Gwennap氏)という。「こうしたシステムのテスト期間は非常に長く,時間がかかる。McKinleyの開発では,対応するインフラやソフトウエア開発などを進めるためにも,Intel社はともかく作業ピッチを早めるべき。McKinleyプロセサのスケジュールは,2001年中にパイロット・システム・テストの実施,量産は2002年とみられる。しかし,ISSCCでの発表キャンセルからすると,さらに遅れが出ているのかもしれない」(Gwennap氏)。

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