(2001.1.19,TechWeb News

 1カ月ほど前に待望の「Commerce Server 2000」の出荷をはじめた米Microsoftは,その後,ASP(Application Service Providor)と「.Net」に向けた,2種類の次世代Commerce Server製品の開発を進めている。

 情報筋によれば,そのうち一つは「Commerce Server 2000 Enterprise Edition」(開発コード名「Thorium」)。Thoriumは,ホスティング環境とASP向けに設計されハイエンド版という。

 Thoriumは,何千ものオンライン店舗や電子ビジネス・サイトに一つのクラスタ・マシンで対応できると噂されており,2001年前半のリリースに向けて準備が進められているという。

 「SQL Server 7.0」をサポートする現行バージョンとは異なり,Thoriumは「SQL Server 2000」にだけ対応する。Microsoft社は現在,2000万のユーザーを対象にカタログやプロファイルの機能をテストしている。

 もう一つは,Commerce Serverの次期主要製品となる.Net版のCommerce Server。開発コード名は「Casbah」である。こちらも現在開発が進められており,2002年後半には.Netに完全に対応するかたちでリリースされる予定と,Microsoft社の製品開発計画に詳しい筋は語っている。

 Casbahは,Microsoft社の.Net版SQL Serverである「Yukon」と同様に,「UDDI」や「Hailstorm」といった.Net対応のビルディング・ブロック・サービスを利用する。

 Microsoft社のプラットフォームを利用してASP向けのe-businessおよび電子商取引のシステムを開発するソリューション・プロバイダにとって,これら新製品はいずれも必要なものだという。

 ThoriumとCasbahに詳しいソリューション・プロバイダは次のように語っている。

 「CS2000(Commerce Server 2000)は,ASPホスティングに不可欠なものになる。ソフトウエアの拡張によって,複数の顧客により良い対応ができるようになれば,電子商取引サイトとしての競争力を高めることができる。次期Commerce Serverは,我々プロバイダにとってさらに魅力的な製品となるだろう。.Netインフラのプロバイダである我々は,.Netを強化するツールを用いることで価値ある製品を提供していく」。

 一方,ThoriumとCasbahはいずれも市場で難しい局面を迎えると予測するアナリストもいる。

 Current Analysis社上級アナリストのShawn Willett氏は,「Microsoft社の.Netサービスというコンセプトは興味深いが,まだ成熟段階に達していない。既存アプリケーションとの統合が鍵を握ることになるが,Microsoft社を含めてまだ誰もそれがシームレスに実現できると証明していない」(同氏)。

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