(2001.1.15,Jill Morneau=TechWeb News http://www.techweb.com/news)

 今年もまた,「スーパーボール・サンデー」がやってくる。2000年のスーパーボールでは,TV放映のスポンサー企業としてCMに数百万ドルを投じたドットコム企業が16社あった。

 今年はどうか。今年はそれがわずか3社にとどまる見込みだという。3社は,就職/転職情報の米Hotjob.comと米Monster.com,および米E*Tradeである。

 Hotjob.com社とMonster.com社の「参戦」は1999年から3年連続で,E*Trade社は2000年に引き続き2年目となる。

 2000年の「16社」には,米Pets.com,投資信託サービスの米Neveen.com,就職情報サービスの米KForce.com,WWWベースの招待状サービスの米OurBeginning.comなどが名を連ねていた。Neveen.com社,KForce.com社,OurBeginning.com社は,いずれも今年は出場を見送っている。Pets.com社はその後資金繰りが悪化し,2000年11月に事業を整理した。

 Kforce社は今年参加しない理由として,「昨年は,社名変更に伴い,広く告知する必要があった。今年は参加しないが,それは当社の広告関連予算とは全く関係がない」(広報のNicole LeBeau氏)と説明する。

 米Gartner Groupの主席アナリスト,Rob Labatt氏によれば,「スーパーボウルのスポンサーには,ブランド力を持つ伝統企業が戻りつつある」という。

 アナリストらのあいだでは,「2000年のスーパーボウルでの広告展開では,費用に見合う効果が得られなかったケースが多い。企業がどういった製品やサービスを提供しているのかについて,伝えてきれていなかった」との見方が多い。

 米Jupiter Media Metrixの上級アナリスト,Marissa Gluck氏によれば,「2000年のスポンサー企業の多くは,ウイットの利いた広告を目指して他社との差異化をねらったが,結局それはただ“訳のわからない”ものになってしまった。こうした企業は,広告の基本についてすっかり忘れてしまったのである」と説明する。

 Gluck氏によれば,2000年のスーパーボウル放映でのCM費用は,30秒のスポットにつき200万ドル。2001年はさらに値上がりして同220万ドル程度だという。「効果が疑わしい媒体に多額の資金を投入するほど余裕のあるドットコム企業の数はすっかり減少している」(Gluck氏)。

 スーパーボウルでの広告展開で,効果を上げた企業もある。例えばMonster.com社は,有力企業としての企業イメージの創出に成功した。同社の広報担当ディレクターZhennaa Gallagher氏は,「スーパーボウルでの広告展開は大成功。CM直後にトラフィックが急増し,その効果は1年間継続している」と話す。Monster.com社によれば,同社のWWWサイトへのアクセスは,CM放映後24時間の検索サービス利用件数が440万件となり,放映前の同170万件に比べて約2.6倍に増大したという。

 一方で,CMの内容が提供する製品/サービスに結び付かないという「失敗作」も多かった。例えば,投資信託のNuveen社が放映したCMでは,かつて『スーパーマン』の人気俳優だったが,落馬して首を骨折したことから半身不随となったChristopher Reeves氏を起用した。CMは,Chrisが車椅子から降りて歩き出すというもの。

 これについてLabatt氏は,「あのCMは全くいただけない。あれを見て,私はてっきり脊髄治療のサービス企業なのかと思った。いったい何が言いたかったのか,いまだに理解できない」と批評する。Labatt氏は,「(TVのCMで)企業について語るときには,実際に提供している商品の説明をすべき」と強調した。

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