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 アイ・ティ・アール(ITR)の「国内IT投資動向調査2019」によると、2018年度にIT予算を増やした企業は全体の33.7%だった。減らした企業は6.7%であり、IT予算の増加傾向が続いている。2019年度にIT予算の増額を見込む企業は全体の約35%に上る。

 2018年8~9月に調査を実施し、国内企業2504社から回答を得た。2018年度は20%以上増やした企業が5.0%、10%以上20%未満増やした企業が8.6%、10%未満増やした企業が20.1%だった。ITRの調査ではここ5年ほどIT予算の増加傾向が続いており、2018年度は前年度とほぼ同じ割合だった。2019年度見通しも同様の傾向が続く。2019年度に10%未満増やすと回答した企業の割合が2018年度実績比で約2ポイント増えた影響で、増額を選んだ企業の割合がわずかに拡大した。

 2018年度のIT支出のうち、新規システム構築や大規模リプレースなどの「新規投資」が占める割合は31.7%だった。前年度から0.8ポイント減少した。新規投資について「ビジネス成長」「業務効率化」「業務改善」の目的別の支出割合を調べたところ、三つの目的が概ね3分の1ずつだった。2015年の調査開始以来、割合の傾向はほぼ同じだ。「金融・保険」と「情報通信」はビジネス成長を目的とした新規投資の割合が約34%で他の業界よりも高かった。

 2018年度はIT予算に対するリスク対策費用の割合が減少に転じた。情報セキュリティ対策費用は前年度比1.8ポイント減の14.7%、災害対策費用は同1.4ポイント減の9.0%だった。リスク対策への投資が一巡したとITRは分析している。