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 IDC Japanは国内ITサービス市場の調査結果を公表し、2017年の市場規模を前年比1.4%増の5兆5389億円と推定した。同市場は2014年から2年連続で3%超の成長を遂げたものの、2016年に入ると金融機関や官公庁、地方自治体における大規模開発プロジェクトが終わりに近づいた影響により、成長率が鈍化した。2017年もその影響が残り、1%台の成長率にとどまったと同社は分析している。

 2017~2022年は年平均1.1%の微増ペースで成長し、2022年の市場規模は2017年比5.7%増の5兆8593億円に達する見通しだ。2020年までは金融機関のFinTech活用、組み立て製造業のIoT(インターネット・オブ・シングズ)導入といったビジネスのデジタル化に関連するシステム投資の割合が増え、東京オリンピック・パラリンピックによる関連需要も見込める。

 しかし、2021年には反動減となり、前年比成長率は1%を割り込む予測だ。国内経済そのものの低成長や、クラウドサービスなどITサービスを代替する製品やサービスの拡大が、市場の成長を阻害するとしている。

 大規模開発プロジェクトに依存した成長モデルの限界が近づくなか、ITサービス企業が成長を持続するためには、自らのデジタル化を進めてデジタル時代に対応した人材を整備する必要がある。IDC Japanは「既存システムも含め、企業IT全体の変革は避けられない。個別の業務や技術に特化した取り組みだけでなく、デジタル時代にあるべきITという大きな視点から、IT企業はユーザー企業のデジタル化を支援すべきだ」と指摘している。