RPA(Robotic Process Automation)で「野良ロボット」が放置されても、悪さをしないのであれば大きな問題にはならない。だが、実際に問題が起きると厄介なことになる。今回は、そんな野良ロボットの最大のリスクである「ブラックロボット」に焦点を当てる。この悪さをする野良ロボットについて、その影響と対策について考えたい。

「ブラックロボ」による障害事例

 当社が支援する事例では、野良ロボットがブラック化した結果として、以下のような障害が起きている。

事例1:障害回復の長期化

 ロボットの処理が複雑で、障害発生時に担当者だけではすぐにリカバリーできない。障害回復に参加した関係者の時間を使い、その後の業務遂行にも影響を及ぼすこととなった。

事例2:潜在バグが表面化

 ロボットに設定した作業手順に不備・欠陥が潜んでおり、あるパターンのデータを処理しようとしたときに誤作動を起こした。その結果、これまでに実行してきたロボットの処理が正しかったのかどうかにも疑義が生じた。

事例3:不適切なユーザー権限

 本来ならば使用できないはずの人が使用した。業務システムにはIDが設定されており、使えないはずの利用者だったが、ロボットだと使える設定になっていた。故意に不正を働くわけではなかったので問題にはならなかったが、ID管理の甘さが露呈した。

事例4:既存システムのパフォーマンス低下

 意図していないのにロボットが勝手に動き続け、既存の業務システムに何度も検索処理をかけていた。既存システムには負荷がかかり、日常行っているシステムの処理に影響を及ぼした。

 いずれも実証実験(PoC)中で起きたため、事なきを得た。こういった問題が発生することを確認できるからこそ、PoCを実施する意味がある。だが、これが本番で、しかも人知れず稼働していたらどうなるだろうか。どこから処理が異常をきたしていたのかを見つけ、正しいデータに戻す作業を行い、しかるべきステークホルダーに連絡を取らなければならない。その手間を想像しただけでもぞっとする。

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