RPA(Robotic Process Automation)が、企業における業務効率化や働き方改革に対する手段の一つとして注目されている。一方で、想定したような効果が出ないという声も聞かれる。せっかく導入したものの、想定していたよりもコストがかさむ、あるいは業務の効率化が思ったように進まないというものだ。

 さらに今後懸念されるのが、誰が管理しているか分からない「野良ロボット」の増殖だ。誰にも管理されずに放置されているだけならばまだよいが、いずれ悪影響を及ぼすリスクをはらむ。この特集では野良ロボットに対し、しかるべきガバナンスをもって対策していく方法について提案する。

盛り上がる日本企業のRPA導入

 RPAは文字通りに言えば「ロボットによる業務自動化」となる。ロボットという名前は付いているが、パソコン上で稼働するソフトウエアだ。従来の業務システムやEUC(エンド・ユーザー・コンピューティング)では実現できなかった人間の作業を代替する。

 特徴の一つは導入が簡単であることだ。人間が実際に行っている業務の遂行の概念でソフトウエアを作ることができる。このため、従来のシステム開発のようなステップを踏む必要がなく、容易に作成することが可能だ。

 安倍内閣が2016年9月に「働き方改革実現推進室」を発足させ、2017年3月に「働き方改革実行計画」を公表したこともRPA普及に向けた後押しとなった。「生産性の向上」が国家レベルでの重要課題として位置付けられ、RPAは企業内の生産性を向上するための有力な手段の一つとして注目を集めることとなった。

 実際、金融業界を中心にその頃から業務効率化の有効な手段として導入が進んだ。2017年の1年間で導入、あるいは導入を検討する企業が加速度的に増え、成功事例がメディアでも取り上げられている。

 メガバンクはRPAを活用した業務効率化を目標に掲げている。三菱UFJ銀行は2023年度までに9500人相当の労働力削減を目指す。三井住友フィナンシャルグループが4000人相当の事務作業量を減らすほか、みずほフィナンシャルグループは10年間で約1万9000人相当の業務量削減を目指すことを公表している。

 金融業界以外でも導入実績が出始めている。2018年はさらに多くの企業でRPAが導入されていくのは間違いない。

表●RPAを本格導入する企業の一例
表●RPAを本格導入する企業の一例
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