前回はマーケティングリーダーシップの前編をお伝えした。

 今回はその後編である。前回、リーダーとなる人間は、常に一緒に働く部下やチームメンバーからの「アクセプタンス」を得なくてはならない。そして「モチベーション」を受け止めて成長させ、「エンゲージメント」を高めることで、組織全体の能力を常にアップデートしていく責任を負うと書いた。今回はエンゲージメントの話からだ。

エンゲージメント

 「エンゲージメント(engagement)」という言葉を聞いて、何を思い浮かべるだろうか?

 まだ一般的な日本語になっておらず、人事担当者の世界とWebマーケティングなどに携わる担当者の世界で使われているが、それぞれの意味も使い方も全く異なっている。残念ながら、これを一言で表すちょうどいい日本語が見当たらない。

 日本語に訳す努力をしている人もいるが、一般的に広まっていない現状からみると、ストンと腹落ちしないということだろう。なので本稿ではエンゲージメントというカタカナで推し進める。恐らく外資系で働いた人には、時々耳にする言葉かもしれない。

 エンゲージメントの文字通りの意味は、「約束」や「婚約」である。経営・人事用語では、社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」を表現する言葉となり、より踏み込むと「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のことをいう。そうした意味ではほとんど従来、人事や組織開発の分野で使われてきた。

 それが近年はマーケティング分野でも使われている。ソーシャルメディアでのユーザーの反応、すなわちリンクをクリックする、いいね!をする、シェアする、リツイートする、返信する、コメントするなどの指標として扱われている。

エンゲージメントの定義

 本稿で「エンゲージメント」は、社員が組織内の物事や人物に対して、どの程度の積極性をもってコミット(責任を持って約束する、誓約するという意味)しているのか。そしてコミットメントの結果、仕事への取り組みやそれを継続していくことにどの程度熱心であるのか、ということを表す言葉と定義する。

 会社とエンゲージメントした社員は・・・

『この会社にいれば、自分の目標に向かって成長できる』
『自己実現のための努力は、会社の目標達成に貢献できる』

というエンゲージメントによって、自己実現欲求を満たす。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。