前回までは5話(前後編もあるので延べ8回)にわたって「文化を変える5つの柱」を展開してきたが、そろそろ次に移ってみよう。
連載の第1話で、
間違い:文化<戦略<ツール
正しい:文化>戦略>ツール
という宣言をしていたので、今回から人材育成戦略をリーダーシップの側面から伝えていきたい。
なお、今回も前編と後編に分かれた長編になる。前編で約5000文字なので読み終えるのに10分ほどかかる分量だ。
そもそもリーダーシップとは何か?
皆さんの会社に、マネージャーとか、リーダーという横文字の職位が存在するかどうかは存じ上げない。日本では一般に、社長、副社長、事業部長、本部長、副本部長、部長、副部長、課長、課長補佐、、、、、グループリーダーなどいろいろな呼び方がある。
これらは役割を示すものではなく、職位でありあくまでポジションなのだろう。既にお気づきの方も多いと思うが、この連載ではたびたび「リーダー」という言葉を使ってきた。
リーダーとマネージャーとはどう違うのだろうか?
日本の組織でリーダーというと正式な職位でない場合が多い。「頑張ってもらいたい」という期待を込めるものの職位は変えられないので、あくまで呼び名か通り名として使っている。よく耳にするのはアルバイトの「リーダー」だったりする。
ではマネージャーというと、部下がいるイメージが強いだろうか?「リーダーはリーダーシップを発揮する人で、マネージャーはマネジメントをする人」――。こんな感じだろうか?
これをイメージで表すと、羅針盤と時計をモチーフにいくつも噛み合った歯車となる。意味するところは、左がリーダーシップ、右がマネジメントである。
リーダーとマネージャーのどっちが偉いとか、どっちでなければダメ、という話ではない。会社という組織の中ではどちらも必要だ。
あくまで個人的なイメージでいうなら、リーダーはスティーブ・ジョブズであり、マネージャーはティム・クックとなる。ジョブズだけが1000人いる会社では仕事にならないし、同様にクックだけしかいなければ、それも会社としては成立しない。
では、一人の中に半分ずつリーダー資質とマネージャー資質が混在すればちょうどいいのかというと、残念ながらそういう人は極めて少ない。どちらかにエッジが立ってとんがっているくらいの個性的なリーダーや個性的なマネージャーが求められているが、そういう人も決して多くは存在しない。
マネージャーの仕事は、オペレーションすなわち運用を粛々とこなして結果を出し、効率の高さを目指す実務家のイメージが強い。リーダーの仕事は、進むべき正しい方向性を示しイノベーションを起こし、皆をやる気にさせてゴールへ導くこととなる。