前回は文化を変える5つの柱のうち「顧客目線をインストールする」の前編をお伝えした。
- 変革を邪魔するものは何か?
- 自らを破壊するリーダーシップ
- 共感するコミュニケーション
- 失敗から学び成長を加速する
- 顧客目線をインストールする←今回もコレ
今回はその後編である。私が前職でNPS(ネット・プロモータースコア)に携わるようになった経緯は、前編の最後に書いた。
実は、私たちにはNPSの数値集計をして本社へレポートする以外にも、グローバルレベルで決められたルーチンが二つあった。一つは協力してくださったお客様への礼状発送であり、もう一つは「事態」の収拾にかかわることだった。後者は、もし10点評価で6以下の「批判者(Detractor)」が現れたら、72時間以内に営業責任者がお客様にコンタクトをとるというものだった。
ただし予算の関係もあって3カ月ごと年4回の頻度しかなく、毎回わずか50人に聞くだけの調査だったため、統計的な意味はあまり高くなかった。批判者の出現も1回ごとに数人程度でそれほど大きな手間になることはなく、大きな事件や事故につながることもないため、粛々と対応しただけで済んでいた。
顧客目線を読み解く
当時は大阪に本拠を置く「マーケティングリサーチ&市場予測」専門会社のNPS調査プロフェッショナルに、お客様からの声の聞き取りを任せていた。しかし2007年の開始以来、私を含め誰も個別のお客様から聞き出した「どうしてそう思ったのか、理由をお聞かせください」という詳細なレポート部分に目を通してこなかった。
私は当初、集計分析されたデータだけを見て「なかなかスコアが上がらないものだなぁ」とか呑気なことをつぶやいていた。これでは「単なる馬鹿」と非難されても反論できない。