【Q.18】 Office 365を使い始めたらネットワークが重くなった。対処方法は?

【A.】 セッション数が原因なら機器の交換や回線の追加を

 Office 365を導入すると、通信の流れが大きく変わる。メール送受信のどちらでもインターネットに接続するため、インターネット回線が混み合ったり、ファイアウオールなどのネットワーク機器の性能がボトルネックになったりする可能性が生じる。そうなると、Office 365とは関係ない通常のインターネットアクセスにも悪影響を及ぼしてしまう。もしネットワークが重いと感じたら、ネットワーク機器のトラフィック量や処理負荷を監視して原因を見つけるとよいだろう。

参照人数分のセッションを張る

 Office 365を導入した事例で、セッションテーブルの容量不足でネットワークが重くなるというトラブルを複数のインテグレーターが確認していた。容量不足が発生する原因の一つとして考えられるのが、Exchange Onlineのスケジュール機能だ。

 Q16で解説したように、スケジュール機能は、同じ部署の別ユーザーなど、ほかのユーザーの予定を表示するよう設定できる。このとき、あるユーザーが同じ部署全員の予定を一覧表示すると、Office 365では表示するメンバーごとに一つずつセッションを張って、クラウドサービスから情報を取得する。これをユーザーごとに実施してしまうので、多くのユーザーが別ユーザーの予定を一覧表示するとセッション数がふくれあがり、ネットワーク機器のセッションテーブルが容量不足に陥ってしまうというわけだ(図2-5)。

図2-5●グループ全体の予定を表示すると大量のセッションが必要
図2-5●グループ全体の予定を表示すると大量のセッションが必要
スケジュール機能で別ユーザーの予定を一覧表示できる。そのとき、それぞれのユーザーが、表示したユーザーの人数分のセッションを使う。このため、大量のセッションが必要となり、ネットワーク機器のセッションテーブルが上限に達してしまう場合がある。上限を超えると、Office 365を含むすべての通信で遅延が発生してしまう。
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 大塚商会は、「Exchange Onlineの導入時に、ネットワークトラフィックの変化を踏まえて、ボトルネックになりそうなプロキシーサーバーがあれば機器をあらかじめ交換する」という。リコージャパンが対応したケースでは、Office 365関連の通信を、通常のインターネットアクセスとは別の経路で接続することで解消した(図2-6)。ただ、「Office 365の通信かどうかの判定にURLを使ったが、Office 365が使用するURLが突然変わることがある。このため、定期的なメンテナンスが必要」(同社)としている。

図2-6●Office 365用の回線を用意して対応する
図2-6●Office 365用の回線を用意して対応する
既存のインターネットアクセスに悪影響を与えないように、Office 365用の回線を用意すると、ネットワークの混雑を防ぎやすくなる。
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