この連載ではこれまで、メディアに「取り上げられやすい」プレスリリースの作り方を紹介してきた。自社のリリースがニュースとしてメディアに取り上げられれば、その商品やサービスが世間から注目されてヒット商品になる可能性もある。

 その結果、商品やサービスを開発する社員のモチベーションが高まるといった効果も期待できるし、自社の知名度も信用度も高められる。コストをかけずに自社の商品やサービスを告知できるという側面がリリースにはある。

 そういった様々な効果への期待もあって、多くの企業の広報担当者やPR担当者は、自社のリリースが少しでも多くのメディアに取り上げられるように工夫を凝らしている。内容を詳細に検討し、配信のタイミングや配信方法などにも細かく気を使っている。

 リリースがメディアに取り上げられるようにするには、リリースの作り方に工夫をすることはもちろん、「リリース配信前の準備」と「配信後のフォロー」も重要になる。本連載の最終回となる第6回では、リリースを配信する前の準備と配信した後のフォローについて説明する。

リリース配信前の準備で不可欠な「メディアの確認」

 PR会社を通じて多くのメディアにリリースを配信している企業は、PR会社と事前に配信するメディアを選定している。企業の広報担当者やPR担当者自身がメディアを選定して、リリースを配信することも少なくない。

 いずれにしても、その過程で重要となるのは、自社の商品やサービスを紹介するのに適したメディアかどうかを確認すること。リリース配信前の準備として、「メディアを正しく選定する」ことが重要となるのだ。

 メディアを選定するポイントはいくつかあるが、必ず確認すべきポイントは「読者層」だ。自社の商品やサービスにマッチする読者層が多いメディアなら、「読者ニーズに合ったネタ」となり、リリースがニュースとして取り上げられる確率が高まる。

 「読者プロフィール」をWeb上で公開しているメディアも少なくないので、まずはその情報を元に読者層を確認しておこう。ただしその際に、「40~50代の男性が読者に多い」といった情報だけではなく、「どのような業種」の「どういった部署」で「どんな役職」の読者が多いのかといったことまで確認しておくとなおよい。

 例えば、「製造業向けに生産効率を高めるIoTプラットフォームの提供を開始した」というリリースの場合で考えてみよう。このときの配信ターゲットになるのは、さまざまな「製造業」の「生産管理部門」の「部門長」からさらに上の役職の人たちを読者に含んでいるメディアとなる。

 一方で、「スマートフォンで操作できる家庭用のコミュニケーションロボットを発売した」というリリースなら、業種や役職はそれほど重要ではなくなる。幅広い年齢層で男女を問わず、広い読者をターゲットとした一般紙や情報雑誌、ニュースメディアなどが対象となる。

 特に広い読者をターゲットとする場合、WebメディアであればPV数、新聞や雑誌であれば発行部数など、「メディアの規模」を示す数値も確認しておこう。PV数や発行部数が多いほど、リリースが記事化された場合に、より多くの読者の目にとまる可能性が高まる。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。