プレスリリースを発信する企業や組織の担当者は、できるだけ多くのメディアに掲載されるように、さまざまな工夫を施している。リリースのタイトルや文章の表現について、編集部や記者の関心が高まるような表現にするなどだ。

 そうした工夫もさることながら、リリースを作成するときに最も大切な視点は、「事実を正確に盛り込む」ことである。このあたりはこれまでの連載の中でもたびたび触れてきた。さらに、プレスリリースの配信側には、その事実を「正確に盛り込む」だけではなく、「事実の価値を見積もる」ことも重要となる。

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 事実の価値とは、広く社会に与える影響や、その企業・組織が属する業界に与えるインパクトなどである。「世界初」や「業界初」の実績や取り組みであれば、当然ながらその事実の価値は高くなる。その価値を正しく判断する(見積もる)ことが、情報発信側にとって重要なのである。

 これには視点を変える工夫も必要だ。例えばある新製品の発売をプレスリリースしようというとき、製品そのものに目新しさが少ないなら、「モニターで使ってもらった人の感想はどうだったのか」というように視点を移してみる。そこで「90%以上が高評価」という事実があれば、その価値を前面に打ち出すリリースを作るといった工夫ができる。

 事実の価値を見積もることは、実はプレスリリースの作成にとどまらない、非常に重要な作業になる。というのも、事実の価値の大きさによっては、プレスリリースを配信するよりも「記者会見を開くべき」という判断になるかもしれないからだ。

 企業や組織が「広く情報を発信したい」と考えたとき、その事実の価値の大きさ次第で、プレスリリース以外の情報発信の手法も選択肢に入れる必要があるということだ。

情報発信の三つの方法

 企業や組織が情報発信を考えたとき、その手法は大きく三つある。「プレスリリースを配信する」、「記者会見を開く」、そして特定のメディアだけに「リークする」という方法だ。

 リークとは、企業側が意図的に特定のメディアだけに事前に情報を流し、単独取材の便宜を図るなどして、プレスリリースの当日にいち早く掲載してもらう約束を取り付ける手法である。企業などがプレスリリースを公開する前に、リークを受けたメディアが情報を公開する場合もある。

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