プレスリリースを作成する広報担当者が頭を悩ませる問題の一つが「当社が『言いたいこと』『伝えたいこと』がちゃんと伝わっているの?」ということではないだろうか。出来上がった文面を読み返して、「これでいいのかといつも悩む」といった声をよく耳にする。
つい先日、あるICTベンダーの広報担当者と話していたら、「出来上がったプレスリリースを部署内で回覧すると、必ずあれこれ意見が出てくる。そして最後には、『分かりにくい感じがする。ちゃんと言いたいことが伝わるように、もう一回見直そう』となる」とのことだった。
もし、企業がこうした「分かりにくい」リリースを頻繁にメディアの編集部に送り続けているとすると問題だ。編集部側では「あの会社からはひっきりなしにプレスリリースが届くが、どれもニュースバリューがよく分からない」と先入観を持たれてしまう可能性もある。
それでは、「何がニュースなのか」をきちんとと伝えるのはどうすれば良いのだろうか。今回はそのための考え方を整理してみよう。
「なぜこのリリースを発信するのか」に立ち返って考える
先述のICTベンダーでは、広報部署内であれこれ意見が出たときに「何を伝えるべきか」を見直している。営業部門や開発部門などプレスリリースの基になる製品やサービスの担当部門に再度確認し、その意見を盛り込むようにしているという。
ただし、そこでもまた新たな問題が発生する。営業部門では少しでも製品やサービスが売れるように情報を「盛って」発信したいというのだ。開発部門なら「技術的側面を語ってほしい」というだろう。
これらの意見を真に受けてバランスを取ろうとすると、いわば「どっちつかず」のプレスリリースが出来上がってしまう。結局『これでいいの』となってしまうのだ。
こうしたときにまず考えるべきは一つ。「なぜ、そのプレスリリースを発信することになったのか」ということだ。
自社にとって、そのプレスリリースを発信することの「意味合い」にもう一度立ち返ることが大切になる。そこがブレると、結果的に内容が分かりにくいプレスリリースとなってしまう。