前回は、マーケティングのデジタル化に、そのテクノロジーの導入に問題があることを指摘しました。
今回は、テクノジーの導入に関わる問題を、より具体的に、そして解決策も含めて考えます。
そのために最初の質問をしてみます。「あなたの組織には、Marketing System Administratorはいますか?」――。
多くの方は、Marketing System Administratorという肩書きを初めて聞くと思います。今回の記事を読んで、少しでも必要性を理解もらえるとうれしいです。
マーケティングテクノロジーは継続して利用することが重要
日本では、マーケティングオートメーション(MA)やCRM(顧客関係管理システム)といったマーケティングテクノロジーツールの導入は、Web担当者のいるチームが進める場合が多いと思います。マーケティング部門の中で最も技術に強いことが、その理由として挙げられるでしょう。
今までのWebサーバーの設置やメールサーバーの導入などは技術がシンプルで、他のツールとの組み合わせが少ないものでした。これなら、マーケティング部門のWeb担当者が実施ししても問題はありませんでしたし、実際に可能だったと思います。
ところが状況は変わっています。現在多くのB2B企業(この話はB2C企業にも共通します)が、考えているマーケティングテクノロジーは、情報発信系よりも情報収集・分析系のものが増えているのです。
もう少し分かりやすく言い換えると、導入するツールの種類が、壊れてもビジネスへの被害が小さいものから、システムが停止したりデータを失ったりすることがあればビジネスに大きなインパクトを与えるものへ変わってきたのです。
システムの構成は、今までのホストやサーバーを自分たちで運用するオンプレミスのものから、クラウドを利用するものになりました。結果として、導入のハードルは下がり、システムの信頼性も高くなりました。
しかし、これから導入するマーケティングテクノロジーツールには、今まで以上に「継続して利用すること」が求められるようになりました。ツールにメールアドレスやCookie情報などのデータをどんどん蓄える仕組みだからです。
アビームコンサルティングが実施した「BtoBデジタルマーケティング調査レポート2016」では、「マーケティングオートメーションを早くも入れ替えたい」という回答を少なからず得ています。いったん導入したマーケティングオートメーションを他のものに変更するには、データ移行が不可欠になります。